ニューヨーク市では万引きが横行しており、ほぼすべてのスーパーで発生していることがわかった。
ニューヨークポスト紙が入手した全米スーパーマーケット協会の調査によると、市内にあるスーパーの93%が、洗剤やコーヒー、その他の日用品が盗まれたことがあると回答。そのうちの60%が、毎日万引きが発生していると答えた。
ブロンクスとハーレムに店を構えるファインフェアの店主は同紙に「彼らは万引きが許可されていると思っている」、盗んだ商品を再販するなどして「万引きを生業にしている」と不満を示した。
ニューヨーク州では2019年に刑事司法制度の一部が改正され、ほとんどの軽犯罪および暴力行為以外の重罪について、裁判官は保釈金を設定することができなくなった。万引きで逮捕されたとしても、公判まで保釈金なしでその日のうちに身柄が解放される。また不起訴になる場合も多いという。
店側は警備員を増やしたり、商品棚を施錠したりするなどの対策を講じているが、万引き行為は後を経たない。不正行為を注意したスタッフが、逆ギレした犯人に刃物で脅されたり、暴行されたりするなど危険な目に遭うこともある。
小売大手のターゲットは9月、従業員の「安全確保」を理由にマンハッタンのイーストハーレムやシアトル、サンフランシスコなどの9店舗を閉鎖すると発表した。同店は、これらの店舗では「窃盗や小売を狙った組織犯罪がチームや客の安全を脅かし、持続不可能な経営成績」に陥ったと説明している。
市の犯罪統計では、10月末までに報告された万引き事件の件数は4万9,384件だった。前年同時期より8%減少したものの、パンデミック前の2019年(3万7,919件)より大幅に増加している。
ニューヨーク州議会では、万引きの実態を調査するための「組織的小売犯罪タスクフォース」を設置する法案を可決したが、キャシー・ホークル知事は署名を拒否した。
ニューヨーク州小売評議会は20日、窃盗による被害額は44億ドルに達し、地域社会に悪影響を及ぼしているとして、知事の判断に落胆を表明した。