ハンター・バイデン氏を起訴したのは、より重大な罪から本人を守るため。下院でバイデン親子の調査を率いる監視・説明責任委員会のジェームズ・コーマー委員長(共和党 ケンタッキー)は、起訴には裏の意図があるのではないかと疑問を投げかけた。
8日、CNNのインタビューに出演したコーマー氏は、起訴状は「いわゆるローン」に触れていないと指摘。「われわれは、大統領の息子と兄弟が元金も利息も支払っていないようにみえる1,400万ドル以上のローンを特定した」と続け、「これは氷山の一角にすぎない。より多くの犯罪があると思う」と語った。
「ワイス(デイヴィッド・ワイス特別検察官)は、水曜日に監視委で証言させられることから守るために、ハンター・バイデンを起訴したのではないかと懸念している」と述べ、「このすべては隠蔽に関わることだ」と主張した。
司法省は7日、カリフォルニアの連邦大陪審がハンター氏を起訴したと発表した。
罪状は3つの重罪を含む9つで、検察は、ハンター氏は2016年から2019年の課税年度に支払うべき少なくとも140万ドルの連邦税を払わず、2018年度は虚偽の申告をして税金の賦課を逃れようとしたと主張している。
起訴状では、2016年から2020年のハンター氏の総収入は700万ドル以上あったとしている。収入元は役員を務めたウクライナの天然ガス会社ブリスマ、ルーマニアのビジネスマンや中国のエネルギー企業CEFCとの取引などが含まれる。
これとは別に、ハンター氏は銃を違法に所持した罪でも公訴されている。
議会証言の行方は?
コーマー議員は先月、バイデン大統領の弾劾調査の一環で、息子ハンター氏と弟のジェームズ・バイデン氏に委員会で証言を求める召喚状を発行した。ハンター氏側は公開の場で行うことを条件に召喚に応じる意向を示したが、共和党はこれを拒否した。監視委は今週、ハンター氏の弁護士アビー・ローウェル氏に対して、召喚状に従わずに13日の証言録取に出席しなかった場合、議会侮辱罪の手続きに着手すると警告している。
足掛け5年の捜査
政府によるハンター氏の捜査をめぐっては、必要以上に時間がかかりすぎているとの指摘もある。
元連邦検察官だったクリス・クリスティ前ニュージャージー州知事は7月、USA Todayの取材に「5年の捜査がどのように行われたがわからないが、税金に関する2件の軽罪の申し立てと銃の容疑の却下という結論に至った」、と当時検察と合意に至った司法取引(裁判官が承認せず破談になった)に言及。「そこから導かれることは、彼らはそれ以上のことを捜査しているということだ」と主張した。
一方、監視委に内部告発者として名乗り出た税務当局の捜査官は、バイデン親子に対する優遇があった可能性を示唆している。
監視委の発表によると、ジョー・ジーグラー氏は7月の公聴会で「任命された検察官は、通常の手続きに従わず、捜査を遅らせて、事件の効果的かつ効率的捜査にとって不必要な承認や障害を設けた」と説明。レスリー・ウルフ連邦検事補と司法省のマーク・デイリー税務検察官が、ハンター氏の弁護士に「保管庫のこと」について教えたとし、証拠の破壊や隠蔽を可能にする可能性があったとした。
また、ハンター氏の成人した子供やバイデン一家のメンバーとの面談や記録の取得が妨げられたと証言した。
同じく内部告発者として出席した内国歳入庁のゲイリー・シャープリー特別捜査官は、連邦検察と司法省によるハンター氏の税務捜査は、14年のキャリアで経験したどの事件とも大きく異なっていたとし、「あらゆる段階で、捜査対象に利益となる決定が下された」と非難した。
さらに二人は、バイデン大統領につながる可能性のある証拠の追跡が許可されなかったと主張している。