オンラインゲーム『フォートナイト』を開発・配信するエピック・ゲームズとグーグルの間で争われた裁判で、カリフォルニア州の連邦陪審は、グーグルのアプリストアは独占禁止法に違反したとの評決に達した。
エピックのティム・スウィーニーCEOは、Xの投稿で、4週間におよぶ審理の末に「陪審はすべての訴因についてグーグルプレイの独占に反対する評決を下した」と宣言。裁判所による賠償の判断は、一月に始まるとした。
エピックがグーグルを訴えたのは2020年8月。グーグルは「モバイルアプリをアンドロイドユーザーに配信する市場」と「アンドロイドモバイルアプリ内におけるデジタルコンテンツの支払い処理市場」の2つの市場を不正に独占し、シャーマン法に違反したと主張した。
配信市場について、Google Playストアと競合する配布方法に「契約上、技術的な障壁」を設け、配信アプリのほぼ全てをGoogle Playストアが占めるよう強制していると指摘。アンドロイド搭載のスマホを開発するOEMがサードパーティーのアプリストアを利用する能力を妨害し、アプリ開発事業者に対しては「他のアプリをダウンロードできるようなアプリ」の提供の禁止や、グーグルの広告チャネルを使った宣伝を行うために、Google Playストア経由での配信を条件づけているとした。また、ユーザーが開発者のサイトから直接ダウンロードできる能力を制限・規制しており、これらはアプリの配布における消費者の選択と競争を排除することを目的とした反競争的行為だとした。
アプリ内課金の処理市場に関しては、Google 独自の支払い処理ツール「Google Play Billing」以外のオプションの提供を禁止し、その取引に「30%という法外な税率」をかけていると説明。2020年8月にエピックがプレイヤーに独自の支払いツールの提供を開始すると、グーグルは報復として、アプリストアからフォートナイトを排除して、新規プレイヤーへの配布や既存プレイヤーのアップデートを不可能にしたと述べた。
当時提出された訴状では、金銭的賠償ではなく、アンドロイドのエコシステムにおける反競争的行為の差止めを命じるよう求めていた。
AXIOSによると、陪審はすべての争点でエピックの主張に同意し、グーグルはアプリ配布市場とアプリ内課金サービス市場で独占的な力を有し、反競争的行為によりエピックに損害を与えたと認定した。
また、Google PlayストアとGoogle Play Billingの間に違法な関係があるとしたほか、「Project Hug」と呼ばれるゲーム開発者との契約やOEMとの契約も反競争的だと判断された。
グーグル側は「アンドロイドビジネスモデルを守り続ける」ために上訴すると発表している。
エピックは、アップルとの同様の訴訟ではほぼ敗訴しており、今年9月に最高裁に審査を求めた。
これとは別に、グーグルと政府との間で独占禁止法訴訟が進行している。司法省とフロリダなどの11州は2020年10月、「反競争的および排他的な行為」を通じて、検索および検索広告市場において不法に独占的地位の維持、拡大をはかっているとし、反競争によって生じた損害に対する救済などを求める訴訟を提起した。今年9月に審理がスタートした。