下院監視・改革委員会では、米軍輸送機 V-22オスプレイの調査に着手する。
ジェームズ・コーマー委員長(共和党 ケンタッキー)は、ロイド・オースティン国防長官に宛てた21日付の書簡で、屋久島沖の墜落事故を含むこれまでの事故について「委員会はオスプレイ計画を巡る安全性と性能の問題について依然として懸念を抱いている」と説明。「計画の安全性と性能を明らかにするための文書と情報」を1月4日までに提出するよう求めた。
11月29日に起きた屋久島の事故では隊員8人が死亡した。これを受け、空軍と海軍、海兵隊は6日、事故調査の間、オスプレイ全機の運行を停止すると発表した。空軍特殊作戦司令部のトニー・バウエンファインド中将は声明で、事故の根本原因は不明とする一方で、予備的調査から「潜在的な物質的不具合」の可能性が示されていると述べている。
オスプレイを運用しているのは米国と日本だけで、Voice of Americaによると、現在米軍では空軍特殊作戦司令部が51機、海兵隊が400機以上、海軍が27機を運用している。これまでに試験または訓練中の事故で50人を超える隊員が死亡している。過去20ヶ月間で4件の墜落事故が発生し、20人が命を落とした。
コーマー委員長は書簡で、過去9年の間、エンジン故障を防ぐための海軍仕様機の再設計の試みが続いているが、事故による死傷者が後を経たず、国防総省の監察官は、再設計の取り組みは「長年の問題の解決」にはならないとも主張していると指摘。また、2009年にオスプレイ計画に関する議会公聴会を開催して以来、政府の監視機関の追加報告によりオスプレイの問題が明らかになったが、「既知の機械的問題が解決されないまま、我が国の兵士は依然として危険にさらされている」とした。
オスプレイ計画には、44州にまたがる米国のサプライヤー500社、従業員27,000人が関わっているという。
委員会は経済的影響も認識していると強調しつつ、「隊員の命とコストの増大、将来的な経済的影響、オスプレイ計画の技術の革新的な転用」の重大性を考慮し、早急に資料を提出するよう要求した。