ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は27日、新たな移民対策として、他州から市に乗り入れる移民の貸切バスの台数を制限すると発表した。
制限は行政命令によるもので、バス会社に到着予定の32時間前に通知することを義務付ける。もし違反した場合、禁錮刑(懲役3カ月)や罰金(個人500ドル、企業2,000ドル)が科せられる。警察がバスを押収する可能性もある。
アダムス氏は、移民が訪れることを阻止することではないと説明。意味の「安全確保」を目的としたもので、「組織的かつ所定の方法に従い」到着できるようにするものだと強調した。
会見は、シカゴのブランドン・ジョンソン市長とデンバーのマイク・ジョンソン市長と合同で行われた。3者は改めて、連邦政府に移民対策への支援を求めた。
テキサス州「安全確保されるまで送り続ける」
2022年春以降、南部国境を越えてニューヨーク市にたどり着いた移民の数は16万人を超えた。大半はベネズエラの出身で、現在約7万人がシェルターを利用している。
テキサス州は、グレッグ・アボット知事が2021年に開始した「ローンスター作戦」のもと、7万人の移民をチャーターバスで別の都市に移動させている。ニューヨーク市にはこれまで、2.5万人が送られた。先週は、1日としては最大となる14台のバスがテキサス州から到着した。
デンバーではこれまで、3.5万人の移民を受け入れており、移民対策に投じる費用は市の予算の10%に達しているという。
アボット氏は先月末「バイデン政権が国境の安全を確保するまで、今後もバスで聖域都市に移民を送り続ける」と宣言しており、今後も移民の数は増え続けることが予想される。2.5万人がテキサス州から送られたシカゴ市では、既にニューヨーク市と同様の政策をとっているが、バスは市郊外に到着しているという。
ニューヨーク市は今後2年間の移民対策費用として、110億ドル(約1.5兆円)を見込んでいる。11月に、来年度の予算から警察や教育部門などの予算を削減する方針を発表するなど、財政にも影響を及ぼしている。
計画には、警察部門の新規採用や人員削減、サマープログラムや無償の幼稚園、図書館のサービスカットなどが盛り込まれた。アダムス氏は「税収の伸びは鈍化」していることから、全部門で予算削減が避けられないと窮状を語っている。