カリフォルニア州会計検査官は8日、大谷翔平選手とロサンゼルス・ドジャースの間で交わされた大型契約に関して、連邦議会に税制の見直しを訴えた。
大谷選手は、プロスポーツ史上最高額となる10年間総額7億ドル(約1,050億円)でドジャースへの移籍が決定した。契約金額のみならず、受け取り方法も「前例のないもの」で、10シーズンの支払額は年間200万ドルで、残り6億8,000万ドルの支払いは契約後に繰り越されると伝えられている。
カリフォルニア州のマリア・コーエン会計検査官は声明で、後払いされる契約金は「日本に帰国した場合、カリフォルニア州の所得税の支払いを逃れることができる」と指摘。現在の税制は、最高税率の対象となる富裕層に対し「制限のない後払いが認められており、租税構造に著しい不均衡が生じている」と説明した上で、これらの人々に対する「(繰越払いに)適正な上限がないことは、所得格差を悪化させ、税の公平な分配を妨げる」と主張した。「連邦議会に即時かつ断固たる対応を求める」とした。
カリフォルニア雇用経済センターによると、大谷選手が契約終了後に日本や他州に転居した場合、繰越払いの6億8,000万ドルにかかる連邦税は全額支払われる一方、カリフォルニア州の税金は「完全に回避できる可能性が高い」。この場合の節税額は、現在の条件を維持した場合、年間980万ドル(全体で9,800万ドル、約140億円)と試算している。
680億ドルの財政赤字
カリフォルニア州の歳入は減少しており、680億ドル(約9.8兆円)の財政赤字に直面している。さらに同州では、奴隷の子孫に対する補償も検討されている。州議会やギャビン・ニューサム州知事が補償の支払いに合意した場合、補償額は1人あたり120万ドル(約1億7,000万円)以上、総額で8,000億ドル(約115兆円)となる可能性があると伝えられており、その財源についても問題視されている。