市が退去命令、ユダヤ教施設の地下に「ショーシャンク風のトンネル」

238

ブルックリンにあるユダヤ教超正統派「ハバド」のシナゴーグで、違法に掘られた地下トンネルが発見された問題で、ニューヨーク市建設局は10日、同施設からの退去命令を出したと発表した

トンネルは長さ約18メートル、幅2.5メートル、高さ1.5メートルで、イースタン・パークウェイ784と786など4軒の建物を地下でつないでいた。

トンネルは建設許可を得ておらず、支柱なども不十分だった。トンネルが掘られたことで、2軒の平屋の建物に構造的安定性の問題が生じた。またキングストンアベニュー302にある2階建ての建物にも、火災の安全性に懸念があるとして、立ち退き命令が出された。

地下トンネルは、警察への通報で公になった。

ニューヨークポスト紙によると、コミュニティのメンバーがトンネルを発見した後、それをセメントで埋めるためにトラックが手配された。ところが、一部の学生が作業を妨害したことで、通報騒ぎに発展。通報者は8日夜、何者かがクラウンハイツにある「ハバド・ルバビッチ世界本部の壁を破壊し、不法侵入した」と警察に連絡したという。

Advertisement

SNSに投稿された動画では、大勢の信者と警官らが揉み合いとなり、男性が手錠をかけられる姿が撮影されている。この騒ぎにより、9人が無謀な危険行為や器物破損の容疑で逮捕された。

ハバドの報道官は9日、Xへの投稿で「過激派学生の集団」が、シナゴーグの隣の敷地の壁を突き破り「不正なアクセスを提供した」と経緯を説明した。

ルバビッチ派の関係者はポスト紙に、映画『ショーシャンクの空に』を見たことはあるかと尋ね、学生は誰にも悟られないようトンネルを完成させたと明かした。工事にはメキシコ人の移民が雇われたという。「秘密の作戦」を実行するため、作業は3週間住み込みで行われたと語っている。

ハバドのラビはトンネルの目的について、過激派の学生が、「メシア」と称されるルバヴィッチャー・ラビ・メナヘム・メンデル・シュナーソン(Rebbe、レベ)との約束を果たそうとした可能性があると指摘している。1941年にニューヨークに移り住んだシュナーソンは、20世紀で最も重要なユダヤ人指導者の一人として知られており、1988年に同地のシナゴーグの拡大を宣言していた。