トランプ氏「EUが攻撃されても助けない」、大統領復帰の可能性に欧州委員会で懸念広がる

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トランプ氏は大統領だった2020年当時、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長らに対して、EUが軍事攻撃を受けても助けないだろうと私的に警告したことがあったという。ポリティコがフランスのティエリー・ブルトン欧州委員の話として伝えた。

会話があったのは、ダボスで開催された世界経済フォーラムのミーティングの席上で、フォン・デア・ライエン委員長、ブルトン氏のほか、通称担当だったフィル・ホーガン氏も出席していた。

トランプ氏は「ヨーロッパが攻撃を受けた場合、我々は決して助けたり支援したりしないことをあなたは理解する必要がある」と告げたという。

さらに「NATOは死に体で、われわれは抜ける。NATOを辞める」とも主張。「ところで、君たちは私に4,000億ドルの借りがある。君たちドイツ人は防衛費を支払わなかったからね」と加えたという。

ブルトン氏は、9日の欧州議会でこのトランプ氏のエピソードを振り返り、EUの防衛力強化のために、兵器増産に向けた1,000億ユーロ規模の基金を創設する考えを示したという。

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共和党の候補者中、トランプ氏は支持率でライバル候補を圧倒しており、FiveThirtyEightによる各社世論調査の集計では、トランプ氏の支持率は60.4%で、2位のフロリダ州のデサンティス知事(12.1%)、元サウスカロライナ州知事のニッキー・ヘイリー氏(11.7%)を大幅に引き離している。15日に党員集会を開催するアイオワ州でも50%を超えている(トランプ氏52.3%、ヘイリー氏17.7%、デサンティス氏16.2%)。バイデン氏との対決でも、一部で互角または僅差でトランプ氏が上回る結果も示されている。

トランプ氏の大統領復帰の可能性に、委員らの間に恐怖が広がっているという。

ブルトン氏は「これは大きな警鐘だ。彼が戻ってくるかもしれない」とトランプ氏について述べ、急速な自衛強化の必要性を訴えたという。