法的トラブルが山積みのトランプ氏に、ニューヨークの陪審は26日、8,330万ドル(約120億円)の損害賠償支払い命じる評決を下した。
訴訟は、女性作家E・ジーン・キャロル氏が、2019年に性的暴行を告発した後、トランプ氏が嘘つき呼ばわりし名誉を毀損されたとして訴えたもの。16日からスタートした審理は、トランプ氏もほぼ毎回出席し、25日には自ら証言台に立った。
CNNは、トランプ氏にとってダメージの大きい金額と伝えたが、資産内容からするとそれほど問題にならないだろうとの指摘も上がっている。
昨年フォーブスの米国長者番付400人から外れ、愚痴をこぼしたトランプ氏だが、それでも推定資産は26億ドルある。このうちの現金と流動資産は4億2,600万ドルで、この中には首都ワシントンのホテルを売却して得た現金、サンフランシスコのビルをリファイナンスすることで得た1億6,200万ドルが含まれるとしている。
トランプ氏は現在、在任中のどの時点よりも流動資産を多く保有しているという。フォーブス誌の推定が正しければ、8,330万ドルのキャッシュを工面するのは問題がなさそうだ。
自分の財布に加えて、ニューヨークタイムズは、トランプ氏は訴訟費用をなるべく自腹を切らないよう手を尽くしており、刑事事件や民事裁判に関連する法的費用やその他の経費の支払いに、政治活動委員会の資金を利用しているとも指摘している。
一度に大きな現金支出を抑えるために金融機関に頼ることも考えられる。ただし、重大な法的リスクを抱えるトランプ氏にとって、協力可能な企業を探すのは難しいのかもしれない。
評決が下された直後、トランプ氏は「全くバカげている!」と一蹴し、すぐに控訴する計画を示した。
その場合、上訴審が確定するまで、保証として裁判所の管理する口座に預け入れる可能性がある。キャロル氏との一回目の裁判で支払いを命じられた500万ドルについては、そのような取り決めを裁判所との間で結んでいる。
この間、キャロル氏は賠償金にアクセスできない。一連の訴訟は、連邦最高裁まで持ち込まれる可能性もある。最終決着まで長い道のりになるかもしれない。
なおトランプ氏にとって、支払いは今回の判決だけではない。今月審理を終えた資産を水増ししたとされる訴訟で、ニューヨーク州の司法長官は、トランプ氏や一族の企業に対して3億7000万ドルの返還を求めている。