米大物ラッパーのジェイ・Zのグラミー賞授賞式での発言を巡り、テレビ司会者から非難の声が上がった。
ジェイ・Zはこの日、ヒップホップ界に対する貢献を讃える「ドクター・ドレー・グローバル・インパクト賞」を受賞した。
娘のブルー・アイビーちゃん(12)と一緒に登壇したジェイ・Zは、音楽は「主観的であり、私見に基づく」ものだと前置きし、妻のビヨンセに視線を向けながら「私はこの若い女性に恥ずかしい思いをさせたくないが、彼女は、誰よりも多くのグラミーを受賞していながら、年間最優秀アルバムは受賞したことがない」と指摘。「独自の指標によるものでも、そんな結果になならない」と不当な評価を受けているとの考えを示した。
「今夜、奪われたと感じながら家に帰る人もいるだろう。奪われたかもしれない人もいるし、そのカテゴリーに似つかわしくない人もいる」と主張。「(それでも)あなたは姿を見せ続ける必要がある。彼らがあなたが相応しいという称賛を与え、あなたを天才と呼び、チェアマンと呼び、史上最高だと言うまで」と続けた。
「カニエ的」とツッコミも
この日の授賞式で、グラミー最高の栄誉、年間最優秀アルバム賞に輝いたのはテイラー・スウィフトの「Midnights」だった。テイラーは、史上初めて4回目の同賞の受賞を果たした。
朝のトーク番組「The View」の共同司会者アリッサ・ファラー・グリフィン氏は、5日の放送で、ジェイ・Zの発言に言及。「賞を受賞したアーティストから奪い去ったように思う」と指摘。テイラーとビヨンセは昨年、ツアーの様子を記録した映画のオープニングに互いに出席し、話題を盛り上げたと2人の関係に触れつつ、グラミーのスピーチによって「テイラーの歴史が消されたように感じた」と語った。別の司会者からは「ビヨンセは今年ノミネートされてもいない」といった指摘も上がった。
ちなみにビヨンセは、年間最優秀アルバム賞を手にしたことはないが、ソロやデスティニーズ・チャイルド、ジェイ・Zとのアルバムを合わせると、グラミーで史上最多の32の賞を獲得している。
ネットでは、過去にテイラーを壇上でディスったカニエ・ウエストのエピソードを彷彿とさせるとして、「カニエ的モーメント」「カニエ 2.0」といったツッコミや、「ビヨンセは最多のグラミーを持っている」といった声が上がった。
カニエは2009年に開催されたMTV VMAJで、最優秀ビデオ賞を受賞したテイラーのマイクを横取りし、ステージ上からビヨンセの方が同賞にふさわしいと主張した。