バイデン大統領が副大統領時代の機密文書を持ち出し、デラウエアの私邸や事務所に保管していた問題で、捜査を担当する特別検察官は、有罪を立証するには証拠が不十分で、刑事訴追は必要ないと結論付けた。
問題が明るみに出たのは2022年11月。機密文書約10点がペン・バイデン・センターから発見された。さらに翌月、デラウエアの自宅のガレージから機密マークのついた文書が見つかった。FBIによる初期捜査の後、メリック・ガーランド司法長官は元連邦検察官のロバート・ハー氏を特別検察官に任命し、さらなる捜査を命じた。
報告によると、持ち出された文書には「アフガニスタンの軍事政策に関する機密書類」と「機密情報源や手法が関係する国家安全保障と外交政策に関するバイデン氏の手書きのノート」が含まれ、これらはバイデン氏のデラウェア州ウィルミントンの自宅のガレージ、事務所、地下室から回収された。
ハー氏は、バイデン氏は機密資料を意図的に保持し、回顧録を執筆したライターに開示したとする一方、複数の理由から、証拠は合理的な疑いを超えて有罪を立証するものではないと説明した。
2022年にガレージで見つかったアフガニスタンの資料について、バイデン氏は副大統領または大統領としてデラウエアの私邸に保持する権限を有しているとしたほか、民間人となった2017年2月、一時的に暮らしたバージニア州の借家で一度発見したが、すぐに忘れてしまった可能性があり、陪審は犯罪意図を認めないだろうとした。
さらに、2017年に回顧録を執筆したゴーストライターが収録したインタビューと、検察の聴取の両方で、バイデン氏の記憶は「著しく限られていた」と指摘。捜査に対する協力姿勢と合わせて、陪審に対して、法律を意図的に犯したというよりもうっかりミスだと納得させる可能性があるとした。
検察とのインタビューで、バイデン氏は副大統領だった時期を覚えていなかったという。インタビュー初日は、任期終了時期を忘れてしまい、2日目は任期がスタートした時期を覚えていなかった。さらに長男のボー氏が亡くなった時期も思い出せなかった。
アフガンをめぐる議論についても記憶があいまいで、カール・アイケンベリー元駐アフガニスタン大使と「真の違いがあった」と証言したが、実際はアフガン増兵に反対したバイデン氏の味方で、オバマ氏に提出した手書きメモでもその名前を引用していた。
刑事訴追を免れたが、報告書に描かれた記憶力の問題は、大統領選に向けて高まる健康議論の火に油を注ぐことになりそうだ。
民主党議員「悪夢だ」
NBCニュースによると、ある民主党の下院議員は匿名で「これは悪夢だ」と衝撃を語り、「バイデン氏の当選可能性を弱める。トランプは大災難で独裁主義者だ」と回答。「民主党にとって、我々は厳しい状況にある」と加えた。
別の民主党関係者は「壊滅的を超えている」と主張。「有権者が抱いている疑念と懸念を裏付けるものだ。高齢すぎることが不起訴の唯一の理由だとすれば「どうして米国大統領になれるだろうか」と語った。
さらに、バイデン氏のある協力者は「大統領職における最悪の日」と話し、「これが誤った描写で、勝利して国を収める能力があることを示さなければならない」と述べた。
バイデン氏は引き続き失言や言い間違いを連発しており、今週はヨーロッパの指導者の名前を繰り返し間違えたほか、中東問題をめぐる会見でハマスの名称を思い出せなくなる場面があった。
NBCの1月の世論調査では、有権者の76%がバイデン氏の身体および精神的健康に懸念を抱いていると解答した。トランプ氏との戦いで年齢が最大の障害になる可能性が指摘されている。