先日、英国滞在時の警護のあり方を巡る裁判で敗訴したヘンリー王子。この結果を受け、法律専門家は、王子が米国市民権の取得を検討する可能性を示唆した。
ロンドン高等法院は先月28日、政府および王室・公人警護執行委員会(RAVEC)が、英王室離脱後の警護水準を引き下げた決定について「理不尽はなく、手続き上の不公平で損なわれることはなかった」との判断を示し、王子の訴えを退けた。
ヘンリー王子は控訴の意向を示してるが、ポール・ブリットン弁護士は英紙エクスプレスに対し、判決は「予期されており、決定的」と説明。「英国に帰国した際、彼や家族に十分なセキュリティがなければ、すぐに米国市民になることを再検討するだろうと多くの人々が予想している」と語った。
ヘンリー王子は先月、米ABCの番組「Good Morning America」のインタビューで、米国市民権の申請を検討したことがあると明かした。ただし、「今の最優先事項ではない」とも語っていた。
この一方で、ヘンリー王子の米国のビザ発給は、法廷闘争の対象となっている
保守派のシンクタンク「ヘリテージ財団」は、ヘンリー王子が自身の著書で、過去のコカインなど違法薬物の使用を告白していたことから、ビザ取り消しの可能性があると指摘。適切な審査が行われたかどうかを巡り、米政府に情報開示を求めている。
先月ワシントンD.C.の裁判所で開かれた審問で、米国国土安全保障省(HDS)のジョン・バルド弁護士は、著書の記述は「必ずしも真実とは限らない」と主張。証拠にあたらないとし、本を売るための脚色だった可能性を示唆した。
またバルド氏は、王子は外交ビザで入国した「可能性が高い」と述べると、ヘリテージ財団の弁護士は、王子は現役の王室メンバーではないことは明白で、外交ビザの発給は「極めて異例」と主張。ビザの「悪用」にあたる可能性を指摘した。
先のブリットン弁護士は、現在の米国ビザの裁判状況を鑑みると、英国での敗訴は「王子にとって圧倒的(なダメージ)」との見解を示している。