大谷選手の通訳である水原一平氏はドジャースを解雇される前日の19日、ESPNに対し、ギャンブルで膨らんだ自分の借金を穴埋めするため、大谷翔平選手が賭博師に金を送金してくれたと語っていた。
水原氏は20日、再び同メディアの取材に応じ、大谷選手は自分が借金を負っていることは知らず、送金もしていないと説明を一転させた。また大谷選手の代理人も「ショウヘイは巨額の窃盗の被害者であることがわかった」と述べ、違法行為への関与を否定した。
なお、水原氏のギャンブルの取引相手は、カリフォルニア州オレンジ郡在住の違法ブックメーカー、マシュー・ボウヤー氏。ESPNによると、連邦捜査局は今年1月、ボウヤー氏の違法賭博の捜査を進める中で、大谷選手の個人口座から送金があったことを確認した。
大谷選手の責任は?
カリフォルニア州ギャンブル依存症委員会の共同設立者I・ネルソン・ローズ氏はCBSニュースに、水原氏の前日の発言が本当であれば、大谷選手が責任を問われる可能性があると語った。
賭博事件には、州法や連邦法を含め、さまざまな犯罪の可能性が潜んでいると指摘。重大な危険性として「反ギャンブル法は、組織犯罪を追い詰めるために作られており、RICO法(威力脅迫及び腐敗組織に関する連邦法)やマネーロンダリングなど、あらゆる組織犯罪法が発動しうる」と説明を加えた。
もし大谷選手が水原氏の借金を支払うために、本人または直接ブックメーカーに故意に送金していた場合、違法ギャンブラーの集金に加担したとみなされる可能性があるという。
「大谷氏はブックメーカーの借金回収を手助けしたこととなる。もし彼がこれに関する何かを知っていて、合意していたならば、非常に悪いことになる」と語った。
ただしこれは、大谷選手が「自ら」金銭を渡した時に限られる。代理人の主張にある「盗まれた」場合は、共犯とはみなされない。ローズ氏は「なぜ弁護士が全員に黙るよう告げなかったのか理解できない」と語っている。
なお、水原氏とESPNとの当初のインタビューは、90分間に及んだ。大谷選手が自身のパソコンから送金したなど詳細を語っていたが、そのインタビューを設定したのも、大谷氏の広報担当者だった。
ドジャースは20日、水原氏の賭博スキャンダルに対し、本人を解雇したことを認めた上で、報道内容については「情報収集中」とコメントしている。