ドジャースの大谷翔平選手は25日、元通訳の水原一平氏の違法賭博スキャンダルについて会見を開いたが、現地の記者からは、まだすっきりしないとの声が上がっている。
大谷選手は、水原氏が「僕の口座からお金を盗んで、なおかつ皆に嘘をついた」と説明。賭博や、借金返済に同意したこともなく、ブックメーカーに送金するよう水原氏に依頼または許可したこともないと言明した。記者からの質問は受け付けなかった。
1996年からロサンゼルス・タイムズでスポーツコラムニストを務めるビル・プラシュケ氏は27日に掲載された論説で、「まだ何かがおかしい」「まだ理解できない」「(オオタニはイメージ通り純粋で素晴らしい選手、皆に好かれる世界のスーパースター、伝説のオオタニマジックはリアルと信じたいが)今はただ信じることができない、完全には」「汚されていない存在だったオオタニには雲がかかったまま」などと、モヤモヤした気持ちを綴っている。
プラシュケ氏は、大谷選手について「自分を救うために最も近しい同僚を裏切るようなずる賢い」人物なのか、「同僚から何億も巻き上げられるほど世間知らずな」人物なのか判断がつかないとし、以下のついて疑問を投げかけた。
- 水原氏がいかにして、大谷選手や会計士、銀行の担当者などに気づかれることなく、450万ドルの強盗をはたらいたのか。
- ブックメーカーが一般人のギャンブラーに450万ドルもの大金の「貸し」を提供し、金銭が盗まれたものではないことを確認せずに回収した点。
- 水原氏がESPNに、借金の肩代わりは大谷選手の合意によるものという「もっともらしい説明をした数時間後」、同じ大谷選手の代理人が、水原氏を「嘘つき呼ばわりし、窃盗の容疑で告発」したこと。
さらに、弁護団についても「危機管理チームが話のつじつまが合わないことに気づかなかったことも驚き」と加えた。なお、弁護護団は、性的暴行で起訴され有罪判決を受けた映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタイン氏や俳優のダニー・マスターソン氏の代理を務めていたという。
また、大谷選手を「保護するために雇われている」エージェントのネズ・バレロ氏も、まだ解雇されていないと指摘。まだ「誰かがどこかで嘘をつき、何かを隠している」と感じているのは私だけではないと述べた。
カリフォルニア州で賭博が違法であることが大きな問題なのではなく、「ドジャースの実質的な少数株主ともいえる選手が、総額450万ドルに上る違法なブックメーカーの支払いに関与したことが問題」だと主張している。
MLBは22日、「大谷翔平選手と水原一平選手の疑惑に関する情報を収集」していると述べ、「この問題に関して、調査部門が正式に調査手続きを開始」したことを明らかにした。
プラシュケ氏は、真実が明らかになるに何ヶ月もかかるだろうと述べ、残ったのは「日本で(日本語で)”カンペキナヒト”として知られていた」大谷選手への「残念な皮肉、ひと夏の苦行、純真さの喪失」と締めくくっている。