南部国境から流入する移民を厳格に取り締まる姿勢を示しているトランプ前大統領だが、例外もあるという。
トランプ氏は6日、フロリダ州パームビーチで開催されたファンド・レイジング・イベントで支持者向けに演説を行った。ビリオネアの投資家ジョン・ポールソン氏がホストを務めたイベントには、メラニア夫人も同席したことで話題となった。トランプ陣営は、この日だけで5,000万ドル(約75.8億円)以上の寄付金を募ったと発表している。
ニューヨークタイムズが出席者の話を元に伝えたところによると、トランプ氏は夕食会のスピーチで、違法に入国する移民について「刑務所や拘置所から来た人々」「災害が起きた国や、信じられないような場所からやってくる」と愚痴ったという。
トランプ氏は在任中、カリブ海のハイチやアフリカ諸国を「シットホール」(劣悪な場所を意味する俗語)と呼んだことで、非難を浴びたことがある。
当時の批判を振り返りつつ「われわれはなぜ素敵な国の人々がやってくるのを許可できないのか。親切にするのに」「素敵な国とは、デンマークやスイスのような国だ。これらの国から来る人はいますか?ノルウェーは?」と問いかけ、ゲストの笑いを誘ったという。「(シットホール)発言は、みんな酷いと言ったが、私は問題ないと思っていた」と述べた。
また、イエメンについて「至る場所で互いに吹っ飛ばしている」と発言したり、中南米出身のギャングと比較し「ヘルズ・エンジェルス(米国のギャング)が非常にいい人に見えてくる」とも語ったという。
移民は「移送され、わが国に持ち込まれ、溜まっていき、今宵もわれわれの元にいる」と主張。パームビーチの対岸にあるウェストパームビーチ(住民の3分の1が黒人で、4分の1がヒスパニック系)を指しながら「そのうち、ここにも辿り着くだろう」などと語った。
バイデン氏が就任したことで、「美しい」大統領執務机が「文字通り、汚されてしまった」と述べると、笑いが起きたという。
タイムズはこの日のスピーチについて、トランプ氏の「スタンダード」と、減税など富裕層に照準をあてた内容が含まれていたと伝えている。
スピーチ終盤では、11月の大統領選について「この国で実施される最後の選挙となる可能性がある」と述べ、キャンペーンでお馴染みの「終末論的」なトーンで締め括ったという。