米政権当局者は、ウクライナが長らく提供を求めていた最大射程300kmの長距離誘導弾ATACMS(Army Tactical Missile System)を供与したことを明らかにした。
AP通信によると、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は24日、「われわれはすでにいくつかを送り、追加の権限と資金を得た今、もっと送るつもりだ」と説明した。バイデン大統領は同日、ウクライナへの610億ドル近くの支援を盛り込んだ法案に署名した。
ウクライナ軍はすでに先週からATACMSの使用を開始しており、クリミアのロシア軍飛行場を標的にしたという。
先週、SNSでクリミアのジャンコイ航空基地における爆発の映像が出回ったが、当局者らはATACMSによるものと認めていなかった。
ミサイルの正確な数は明らかにしていない。バイデン大統領が提供を許諾したのは今年2月で、3月に発表された3億ドルの支援策の中に「相当数」のミサイルシステムが含まれたと述べている。
計画は極秘裏に進められ、政府に提供を要求していた米国の議員らにも知らされなかったという。
国務省のヴァダント・パテル副報道官は同日の会見で「バイデン氏は2月、ウクライナの主権領域内で使用するためにATACMSをウクライナに送るよう密かに指示した」と語るとともに、これまで発表しなかった理由について「ウクライナの作戦上の安全を維持するため」と説明した。
米国は昨年10月に中距離(射程160キロメートル)バージョンのATACMSを提供したが、ロシアの領土深くに到達可能な長距離ミサイルについては紛争を拡大させる恐れがあるとして、提供を躊躇していた。
昨年提供された中距離バージョンは、単一の弾頭ではなく、空中で数百の子弾を放出するクラスター弾を搭載しているとされる。最近提供された長距離のATACMSは、単一型とクラスターの両方が含まれるという。