米国各地の大学で行われている反イスラエルの抗議活動のオーガナイザーの一部が、民主党の主要なドナーが関係する組織から資金支援を受けていることがわかった。米政治ニュースサイトのポリティコが報じた。
報道によると、コロンビア大学やその他の大学の抗議活動に関わる2つの団体、Jewish Voice for PeaceとIfNotNowは非営利組織Tide Foundationから支援を受けている。社会正義の推進を謳う同組織は、民主党のメガドナーとして知られるジョージ・ソロス氏が多額の資金を提供しているという。
寄付額など詳細について明らかにしていないが、2022年のディスクロージャーによると、Tideが同年度に受け取った助成金や寄付金の総額は6.15億ドルで、純資産は14億ドルに上る。
ビル&メリンダ・ゲイツ財団も以前は支援をしていたが、財団側はポリティコの取材に、Tideへの助成金提供はもはや行なっていないと回答している。
ソロス氏のほか、デイヴィッド・ロックフェラー・ジュニア氏が理事をつとめるロックフェラー・ブラザーズ基金は、50万ドル近くをJewish Voice for Peaceに直接提供している。また抗議活動に加わっているその他の複数グループに、ハイアットホテルグループの後継者、ニック・プリツカー夫妻が支援する財団が資金支援を行なっていることもわかった。
ハンガリア生まれのホロコーストサバイバーであるソロス氏(93)が2022年中間選挙で提供した寄付額は、個人として最も高額とされる。自身が設立した特別政治行動委員会「デモクラシーPAC」に1億2,850万ドルを寄付し、そこから民主党候補者を支持する複数の特別政治行動委員会に資金を提供した。この中には、民主党の「Senate Majority PAC」、親イスラエル派の組織「J Street Action Fund」、全米家族計画連盟による特別政治行動委員会などが含まれていた。
2024年の選挙サイクルについては、先月、2番目に高額とされる6,000万ドルをデモクラシーPACに寄付したと報じられている。
Influence Watchによると、ロックフェラー・ブラザーズ基金は2013年からJewish Voice for Peaceを含む反イスラエル、パレスチナ支援団体に寄付を行なっているとされる。
Jewish Voice for Peaceは公式サイトで、「世界最大の進歩的ユダヤ人の反シオニスト組織」であるとし、政府に対してイスラエルへの兵器提供の停止、即時停戦の要求や国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金提供の再開を訴えている。IfNotNowは、米国のユダヤ人団体であり、「イスラエルのアパルトヘイトシステムの廃止」を訴えている。
これらに加えてFOXニュースは、コロンビア大学のデモにはNational Students for Justice in Palestine(NSJP)が加わっており、そのスポンサーであるWestchester Peace Action Committee Foundation (WESPAC)に、ソロス氏の支援する非営利組織が10万ドル単位の寄付をしていると報じている。
一連の抗議活動が秋まで続いた場合、バイデン氏の再選可能性への影響を危惧する声も上がっている。
民主社会主義者を自認するバーニー・サンダース上院議員は、CNNのインタビューに、学生らを含む米国民の圧倒的多数は、パレスチナ人の破壊にさらなる税金を使用してほしくないと思っているとし、「これはバイデン氏にとってのベトナムになるかもしれない」と警鐘を鳴らした。
1968年の大統領選では、現職のリンドン・ジョンソン大統領がベトナム戦争の対応をめぐって激しい批判にさらされ、出馬辞退に追い込まれた。ヒューバート・ハンフリー副大統領が公認候補となるが、シカゴで開催された民主党全国大会で、これに合わせて計画されたデモ参加者らが暴徒と化し、警察と暴力的な衝突を引き起こす事態に発展した。その後、11月に行われた本選挙でハンフリー氏は共和党のニクソン氏に敗北した。今年の民主党大会は奇しくもシカゴで開催される予定で、バイデン氏はそこで正式に党候補者としての指名を受ける。
ブルッキングス研究所は、親パレスチナの活動家らは民主党全国大会で大規模なデモを計画しており、ハンフリー陣営に損害を与えた1968年の暴動が再現される恐れがあると指摘している。