Foxニュースのキャスター、ジェシー・ワッターズは自身が司会を務める番組で、トランプ批判を続ける俳優ロバート・デ・ニーロを「レイジング・ブル」などと揶揄した。
デ・ニーロは14日、 ABCの番組「The View」で、激戦州でトランプ氏がバイデン氏をリードしていることについて、「なぜ皆が彼のことを真剣に受け止めないのか理解できない」と疑問を投げかけた。
ニューヨークタイムズが先月から今月にかけて実施した調査では、選挙の行方を左右するとされる6つの激戦州のうち5州(アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ペンシルべニア)で、トランプ前大統領がバイデン大統領をリードする結果となった。
デ・ニーロは続けて、ヒトラーやムッソリーニの主張も当初は真剣に受け止められていなかったとしつつ、いまだにトランプ氏が宣言を実行しないと考えている人々がいると指摘。「彼はすでにやっているじゃないか」と述べ、「当選したら彼はこの国を変えてしまうだろう」と警告した。
「彼は憎しみに満ち、意地悪で、ひどい」「卑劣」な人物と酷評し、「彼はできる限り最悪なことをしようと思っている」「彼のスローガンはこれだ。F—アメリカ、私はアメリカを台無しにするだ」と語気を強めた。
ワッターズはこうした発言に対して、世論調査の結果は「人々がトランプ氏を真剣に捉えているからだ」と反論。真面目に受け止められていないのはむしろデ・ニーロの方だと皮肉り、「誰もトランプをムッソリーニだとは思っていない。正直、多くの民主党支持者はムッソリーニが誰かも知らない。イタリア料理のアペタイザーだと思っているかも」と冗談めかした。
さらに「人は高齢になると平安を見出すものかと思っていた。私ならそうしたいが、彼は違う。気が狂ってしまったんだ」と述べ、「レイジング・ブルそのものだ」とデ・ニーロの主演作になぞらえた。
タイムズは今回の調査結果について、バイデン氏は北部に位置する激戦州で競争力を維持しているが、それは社会制度の変更を要求する傾向が低く、民主主義を最重要の争点と考える高齢者や白人の有権者にアピールしている結果だと指摘。一方、変化を求める傾向の強いこれらの州において、政治や経済システムの根本的な改革を望む有権者はバイデン氏を信じていないとした。好きか嫌いに関わらず、トランプ氏が「満足のいかない現状」を改革するだろうと考える人々は多く、「少し前までは、こうした反体制の有権者は間違いなく民主党だったが、トランプ氏の反体制的なポピュリズム保守主義が政治力学を逆転させた」と分析を示した。