銃の所持に関して3つの重罪で有罪評決を受けたバイデン大統領の息子ハンター氏。これで終わらせまいとするトランプ派の議員の声に、イーロン・マスク氏が加わった。
ハンター氏は2018年10月に銃のディーラーから拳銃を購入する際、政府により作成が義務づけられている書類に違法薬物の使用者または中毒者ではないと虚偽の記載をし、その後11日間、銃を違法に所持したとされる。昨年9月に虚偽に関する罪2件と違法に入手した銃を所持した罪で起訴された。
デラウエアの陪審は11日、3つの罪状すべてについて有罪を認める評決に達した。理論上は最高25年の禁錮と75万ドルの罰金が科される可能性があるが、初犯であることなどから、判事が最大の刑期を言い渡す見込みは低いと報じられている。
マスク氏は、トーマス・マシー議員(共和党 ケンタッキー)のXの投稿に返信する形で、「同感だ。彼(とその他)は政治的利益のために賄賂を受け取り、米国の清廉性を汚した罪で刑務所に送られるべきだが、この似非犯罪はそうではない」と主張した。
マシー議員はこれに先立つ投稿で、ハンター氏は銃の購入で刑務所送りになるべきではないとコメント。「この国には銃を所持しているマリファナ使用者がごまんといるが、誰も現行法に抵触したからといって銃の購入または所持で刑務所に入るべきではない」と投稿していた。
トランプ陣営も、マスク氏と同様の声明を発表している。
有罪評決の一報が流れた直後、トランプ陣営の報道官、キャロライン・リーヴィット氏は「この裁判は、バイデン犯罪一家の本当の犯罪から気を逸らす以外の何者でもない」と発表。バイデン氏らは「中国、ロシア、ウクライナから何千万もかき集めた」と続け、「悪徳バイデンの支配は11月5日にすべてが終わりを迎える」と述べた。
下院監視委員会や司法委員会の共和党指導者らは長らく、バイデン氏は副大統領時代、親族を富ませるために立場を不正に利用した疑いがあると主張している。ハンター氏の海外取引やバイデン氏が関与した可能性について調査を進め、昨年12月には下院で弾劾調査を正式に開始する決議案を成立させた。
調査の範囲は、バイデン氏が家族の利益のために自らの立場を不適切に使用したか、家族のビジネスの海外取引に関与したか、息子ハンター氏に対する司法省の捜査に影響力を行使しなかったかなど多岐にわたる。ただし、党内から弾劾するのに必要な証拠に乏しいとの意見も多く、行き詰まりが報じられている。
弾劾調査を主導する監視委のジェームズ・コーマー委員長は、有罪評決について「責任追及の第一歩」としつつ、「1800万ドル以上の外国送金をもたらしたバイデン一家の腐敗した影響力行使の計画に関わった全員を捜査するまで、司法省の職員が、ビッグ・ガイことジョー・バイデンをかばっているのは明らか」と声明を発表。共和党下院のナンバー3、エリス・ステファニク議員(共和党 ニューヨーク)も、Xに投稿した声明で、評決は「第一歩」とし、党は家族に対する調査を「続行しなければならない」と主張した。
銃の事件とは別に、ハンター氏は、脱税を含む納税に関する罪でも起訴されており、その審理は9月に開かれる予定となっている。