27日の大統領候補者討論会を前に、唯一トランプ氏とバイデン氏の両方と対決した経験のあるヒラリー・クリントン氏が、トランプ氏といかに対峙すべきかについて語った。
ヒラリー氏は2008年大統領選の民主党予備選でバイデン氏と、2016年大統領選でトランプ氏と討論している。
ヒラリー氏は、25日にニューヨークタイムズに掲載したオピニオン記事で、トランプ氏は「司会者を圧倒するほどの中断の嵐と侮辱、嘘」を放ち、「国家のビジョンを知るためにテレビをつけた有権者に不利益を与えた」と2016年の討論会を振り返り、「彼は無意味な話から始めて、たわごとに脱線する」と指摘。こうした傾向は、当時から「悪化するばかり」と加えた。
今回もステージでわめき散らす可能性があるとした上で、そうした態度に出るのは「中絶の制限や、富裕層への減税、石油大手への地球の売り渡し」といった「不人気な立場」について回答を避けたいからに他ならないと主張。さらに「話をさえぎったり威圧したりするのは、自分が優位に立っているように見せかけ、相手を混乱させたいからだ」と指摘した。
今回はインフレの問題をバイデン氏の責任とする一方で、自分の経済政策に関わる質問への回答を避けるだろうとも予測し、超富裕層への減税や一律関税の導入といった公約が、家計の負担を増大させ、景気後退を引き起こすからであると論じた。
ヒラリー氏は、こうしたトランプ氏に対処するには、通常のディベートのような反論は「時間の無駄」であり、そもそも何を主張しているのかさえ特定することも不可能だと主張。バイデン氏は、一般教書演説で共和党の野次と対峙したように「直接的かつ力強い態度」を取れば、トランプ氏の作戦は失敗するだろうと語った。
さらに、バイデン氏にはパンデミックや経済危機からの復活、大量の雇用の創出、勤労世帯の所得の増大、インフレの低下、クリーンエネルギーや先進的製造業への投資の拡大といった実績があるとし、こうした話を伝えることができれば、ディベートに勝利するだろうとエールを送った。
2020年大統領選の第一回討論会では、序盤からトランプ氏が暴走。バイデン氏の話をことごとく中断させた挙句、司会に口論をしかけるなどして混乱のうちに幕を閉じた。
今回の討論会を主催するCNNは、発言の順番以外は候補者のマイクをミュートするルールとし、トランプ氏もこれに同意した。それでもなお、J.Lパートナーズが実施した世論調査によれば、約8割がトランプ氏がバイデン氏を妨害するだろうと予想している。