4年ぶりとなったバイデン氏とトランプ氏の討論会。バイデン氏のパフォーマンスをめぐって民主党支持者から心配を超えて選挙戦から撤退するべきとの声が上がった。
ニューヨークタイムズのコラムニスト、ニコラス・クリストフ氏はオピニオン記事で、バイデン氏には討論のパフォーマンスを見直した上で、自ら撤退を決断し、8月の党大会に候補者選びを委ねてほしいと希望を述べた。
クリストフ氏は「バイデン氏は決して優れた討論者ではない」としつつ、ステージで示した「声や態度」は、年齢と実力に対する疑念を払拭するどころか増幅させたと主張。「これは一回の討論会に過ぎない。候補者の身体的な弱さ、しわがれた声、まとまりのない返答は、その人がいかに統治するかを予測する良い指標ではないかもしれない。しかし、この選挙では、その候補者が11月に敗北し、再び統治する機会がないことを予測する良い指標となるだろう」と語った。
さらに、バイデン氏のパフォーマンスは、加齢に伴う懸念を深めただけではなく、「トランプ氏の度重なる嘘を打ち破ることができず、重罪犯に討論会での勝利を許した」と非難。「シカゴで開催される民主党全国大会に後継者を委ねることはできる」とした上で、バイデン氏に代わる候補者にミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事、オハイオ州のシェロッド・ブラウン上院議員、ジーナ・レモンド商務長官の名を挙げた。
27日にCNNの主催によりアトランタで開催された討論会で、数日前に風を引いたとされるバイデン氏は序盤、声に張りがなく、言い淀みや言い間違いが見られた。
最初のテーマに取り上げられた経済では、主張の展開や内容が不明で、トランプ氏に揚げ足を取られる場面があった。
バイデン氏:「われわれはチャイルドケア、高齢者のケアといったやらなければならないことを確実にすることができるし、医療制度を強化し続けることを確実にできるだろう。私が新型コロナウイルス…失礼…やらなければならないことのすべてに対処したことを、全ての人が対象とすることを確実にする。….われわれはとうとうメディケア(高齢者の医療保険)を打ち砕いた…」。
トランプ氏:「彼は正しい。メディケアを打ち砕いて、破壊した。なぜなら、やってきた全ての人々をメディケアに入れて、社会保障に入れているからだ」。
続く人工妊娠中絶の問題では、バイデン氏に分があるとされる分野であるにも関わらず、不法移民によって少女が殺害された事件に話が逸れるなど、トランプ氏が得意とする話題を自ら持ち出す場面もあった。
なお討論会後の直後にCNNが示した分析によると、虚偽または誤解を与える発言はバイデン氏が9回、トランプ氏は30回を数えた。
MSNBCの元司会、メフディ・ハサン氏も民主党に新たな候補者の擁立を呼びかけた。
ハサン氏は、Xに投稿した動画で、トランプ氏はいまだに嘘をつき、CNNはファクトチェックに失敗したと批判する一方で、「ジョー・バイデンは去らなければならない。民主党には新たな大統領候補者が必要だ」と主張。これまでトランプ氏こそ支離滅裂で認知症だと考えてきたと前置きをしつつ、「今晩はバイデン陣営にとって大惨事だ。見ているのも辛かった。申し訳ないが、時に高齢者虐待のようにも思えた」と所感を述べた。さらに「81歳の米国大統領が囁くような言葉で最後まで言い終えることもできず、ヘッドライトに照らされた鹿のようにも見えた。数フィート離れた場所にいる重罪犯に反撃することができなかった。これがジョー・バイデンは去らなくてはならないと悟った瞬間だった」と語った。