米ファッション誌VOGUEは1日、ファーストレディのジル・バイデン氏を8月号の表紙モデルに起用したと発表した。
公式アカウントには、「われわれの未来は自分たちが決める」と書かれたキャッチコピーと共に、ラルフローレンの白のタキシードドレスを着た夫人の写真が投稿された。ジル氏について、「今から11月の大統領選まで何が起きようとも、大統領に最も近い腹心かつ擁護者」と紹介している。
インタビューの一部は、バイデン氏が討論会の準備のために滞在したキャンプ・デービッドで行われたという。
先月末、ジョージア州アトランタで開催されたテレビ討論会では、バイデン氏とトランプ氏が再び激突。声が掠れ、不明瞭な主張をしたバイデン氏に、民主党の政治専門家やメディアからは「大惨事」「政治的な水素爆弾」「デフコン1」などの声が上がり、大統領選からの撤退を求める社説まで飛び出した。
一方のジル氏は、討論会後に開催された選挙集会で、「ジョーは素晴らしい仕事をした」と夫の健闘を称えた。「あなたはすべての質問に答えた。全ての真実を分かっていた。みんなに聞いてみましょう」と述べ、「トランプは何を言った?」と会場にマイクを向けると、支持者からは「嘘!」の声が飛んだ。
28日にノースカロライナ州で開催された選挙集会でも、ジル氏は「VOTE」と文字がプリントされたドレス姿で登壇。バイデン氏と共に有権者に投票を呼びかけた。
ジル氏はVOGUEとのインタビューで、「この90分間で大統領在任中の4年間を定義づけることはできない。われわれは戦いを続ける」と主張するとともに、「常に国家にとって最善のことを行う」と語ったという。
インスタグラムのコメント欄には、「白衣を着ている」といった皮肉や、「ジョーク?夫の健康に気を配るべき」「彼女への敬意を失った。全ての質問に回答したと伝え、夫を貶めた。・・これは高齢者虐待だ」「恥ずべき!」「彼を愛しているなら、ナンシー・レーガンがしたように公衆の面前から彼を引っ込めるときだ。年齢ではなく善良な人物として思い出に残すべき」「絶対にノー。大統領が元気で、もう一期務まるという見せかけはもうヤメて」など批判的な意見が多数投稿されている。
ジル氏がVOGUEの表紙を飾るのは、今回で3回目。トランプ氏の支持者からも、「(VOGUEは)来年ホワイトハウスに復帰を果たすメラニアにも同じ熱意を持っていて欲しい」などメラニア推しのコメントも投稿されている。
デジタルメディア「アンクラー」の編集長ジャニス・ミン氏はニューヨークタイムズに、有権者が経済対策を重要視し、大統領が1対1のインタビューを拒否し続ける一方で、夫人がVOGUEに登場するのは「見栄えがするものではない」と批判。選挙の鍵を握るミシガン州やウィスコンシン州、ネバダ州などの激戦州での「勝利の足し」とならない可能性があり、さらにバイデン氏の「最大の資金調達者の1人である編集長」(アナ・ウィンター氏)の媒体で発言することも「懸命ではない」と語っている。