18年前のエプスタイン秘密資料が公開に

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フロリダ州パームビーチ郡の裁判所は1日、ジェフリー・エプスタインから性的虐待を受けた被害者や捜査官による2006年7月の大陪審証言を公開した。

公開を命じたルイス・デルガド判事によると、地元の老舗新聞社パームビーチポストが公開の宣言を求める訴訟を提起したのは2019年。一度は棄却が確定したが、州法の改正とそれに基づく同紙の再審理の申し立てを経て、公開が認められるに至った。判事は「裁判所は、この請求が公の利益に関わる問題であると判断した」と説明。大陪審に提供された証言は「まともな人々にとって常軌を逸して」おり、「極めて容認できない行為から強姦にいたる行為に関連し、問題とされた行為の全てが性的に異常で、不快極まりなく、そして犯罪である」と判決書に記した。

約150ページにおよぶ資料には、未成年の被害者2人と捜査当局者3人の証言が含まれる。被害者の名は黒く塗られ、伏せられている。

当時14歳だった少女は、知り合いの少女からパームビーチの男性にマッサージをすれば200ドルがもらえるとの儲け話につられて、エプスタイン宅を一緒に訪れたと証言した。

マッサージ台のあるベッドルームに一人で連れて行かれ、そこで女性スタッフから下着姿になって待つよう指示された。まもなく現れたエプスタインはローションを使ってマッサージをするよう要求した挙句、追加で数百ドルを支払う代わりにバイブを使用することを求めた。これを承諾すると、エプスタインはマッサージを受けながら少女の性器にバイブを押し当て、マスターベーションを始めたという。少女はこの日、エプスタインから300ドルを受け取り、知人とともその場を後にした。マッサージをしたのは自分一人だったが、知人も300ドルを受け取っていた。

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少女が学校で親友にこの話を打ち明けると、クラス中に知れ渡ることになり、学校から呼び出しを受ける事態に発展。最終的に母親から警察に通報が入った。

同じく証言台にたったパームビーチ警察の刑事、ジョー・レカリー氏は、2005年3月に受けた被害者の母親からの通報が捜査の発端となったと明らかにした。また、2005年10月に事情を聴取したある少女は、同級生や友人らを連れて行くたびに200ドルをもらっていたと証言したとも説明。少女の話によると、23歳の女性を連れて行ったところ、年齢が高すぎるとしてエプスタインが不満を漏らしたことがあった。

エプスタイン宅への訪問が百回を数える少女もいた。さらに、エプスタインが自ら「性奴隷」だと紹介するスロバキア出身の女性、ナディア・マルシンコ氏を加え、女性同士のオーラルセックスを要求したケースや、エプスタインの性器が「変形」しているとして性行為を拒んでいた少女に、最終的に強制的に性行為におよび、1,000ドルを支払ったケースなど、卑劣な行為の数々について語った。

パームビーチの警察は2005年10月20日にエプスタイン宅への家宅捜索を行い、これに加わった捜査官は、性玩具やコンピューターを押収したことを明らかにした。

2008年、エプスタインは南フロリダの連邦検察と司法取引をし、連邦政府による訴追を免れる代わりに、州の訴追で未成年者の売春に関連する罪2件について有罪を認めた。1年半の刑を宣告され、性犯罪者としての登録を義務付けられたが、1日12時間、週6日のオフィスへの外出が許可されるなど異例の待遇を受けていた。

司法の寛大すぎる処分が、その後の性犯罪を助長したとの批判に加え、政財界の大物から英国王室まで、数々の著名人と親交を持つエプスタインと司法当局の間でどのようなやりとりが起きたのか、真相を求める声も多い。

大陪審の資料では、州の検察官が、被害者の少女にドラッグの使用や万引きの経歴を尋ね、さらに対価を受けた性行為の違法性を指摘するなど、少女側に一定の非を認めさせようと見えるやりとりも記されている。

2019年にエプスタインがニューヨークで逮捕・起訴されると、フロリダの対応をめぐる批判が再燃。連邦検事時代にエプスタインとの司法取引を承認したアレキサンダー・アコスタ氏は、トランプ政権の労働長官の座から退くことを余儀なくされた。

その逮捕から約1ヶ月後の2019年8月10日、エプスタインはマンハッタンにある連邦政府の矯正施設で、意識不明の状態で発見され、搬送先の病院で死亡した。ニューヨーク市検視局は首吊りによる自殺と断定した。

性的虐待の被害者は数百人に上るともされる。被害者の弁護士の一人は、被害者の数は少なくとも500人と推定している。