世論調査分析サイトFiveThirtyEightの創設者ネイト・シルバー氏は1日、Substackを更新し、民主党の候補者がバイデン氏からハリス氏に変わり、大統領選の予想は五分五分になったと分析を示した。
シルバー氏によると、バイデン氏が撤退する前の6月26日時点の予測モデルでは、勝敗を決する可能性の高い州で、バイデン氏はトランプ氏に一貫して遅れをとり、勝率は2対1の劣勢にあった。
シルバー氏のモデルの定義では、「五分五分」は両者の勝率が40%以上ある状態のことで、現在の状況はハリス氏44.6%、トランプ氏54.9%へと変化した。ハリス氏は過去数日間で38%から約45%まで急激に改善したという。
シルバー氏は、ハリス氏になることでバイデン氏よりも勝利の道筋の選択肢が広がったと指摘。バイデン氏が勝利に必要な選挙人の票数270票を獲得するのに不可欠と見られていたラストベルトの3州(ミシガン、ウィスコンシン、ペンシルベニア)に加え、サンベルトの一部(ネバダ、ノースカロライナ、ジョージア)に勝利の可能性を広げたとした。
「ハリス氏がミシガン州で勝利する確率は54%、ウィスコンシン州で50%、ペンシルベニア州で47%となっており、これらの州で勝利すれば270票の選挙人票を獲得することができる。これは勝利に必要な票数よりも1票多い。また、彼女はネバダ州での勝率が40%で、これまでのところバイデン氏よりはるかに良い世論調査結果がでている。さらに、ジョージア州とノースカロライナ州で勝利する確率はおよそ3分の1で、これが彼女にバイデン氏になかったバックアップオプションを提供している」。
ただし、シルバー氏は、自身のモデルは方向性を予測するものではなく、ハリス氏が上昇したからといって今後どちらに転ぶかわからないとも指摘。「民主党は、あまり大騒ぎするべきではない」と警告した。
CNNを含む複数のメディアも同様の分析を示している。
同局の記者、フィル・マッティングリー氏は、バイデン氏が撤退を決断する前の予測では、すでにトランプ氏が272票を確保していたと説明。
「ジョージアは基本的に競走外で、アリゾナは依然として接戦で、ネバダは共和党寄りだった。重要なブルーウォール州では、ミシガンも共和党寄りだった」と十数日前の状況を解説。サンベルトは「ほぼすべてが競走外」で、バイデン陣営はミシガンとウィスコンシン、ペンシルベニアにだけ集中していたと語った。
一方、ハリス氏にとってラストベルトの3州が勝利に近づく最も重要な州であることに変わりはないとした上で、ハリス陣営は、サンベルト州で争える可能性が戻ったと見ており、勝利に「複数の道」を見出していると語った。
「彼らはノースカロライナは非常に適切な状態にあると考えている。人口増加によって民主党は非常に(共和党に)接近したことが何度かある。その人口の多くは黒人有権者によるものだ。ジョージアは、バイデン氏が2020年に成し遂げたように競争に戻せる可能性がある。ネバダも再び争える可能性がある。特に、バイデン氏で大きく落ち込んだラティーノの有権者が戻り始めている。アリゾナについても、再度争いになる可能性がある。これらがすべて民主党に行けば、副大統領に非常に大きな勝利をもたらす」。