一部の世論調査でハリス氏の支持率が低下したことを受け、トランプ前大統領は、民主党は再び候補者を変えるのではないかと揶揄した。
トランプ氏は9日、Truth Socialのアカウントを更新し、「党員カマラ・ハリスは、極左で、トランプヘイト、ぼったくりと言われるスパイスショップに行き、”団結”を呼びかけている。国民が、彼女がマルクス主義者、クレイジー・バーニー・サンダースや、エリザベス・”ポカホンタス”・ウォーレンより、はるかにリベラルだと気がつきはじめると、世論調査の数字がクラッシュし始めた」と投稿。「次は誰が投入されるのか?バイデンをカムバックさせてはどうだ?」と加えた。
ニューヨーク・タイムズとシエナ大学が8日に発表した最新の世論調査(9月3日から6日、全国の有権者1,695人に実施)では、トランプ氏がハリス氏を1ポイント上回った。
同紙は、バイデン氏が撤退を表明した直後の7月下旬と「ほとんど変わらない」結果に対し、「急速な盛り上がりから、民主党の熱狂を現実へと引き戻すかもしれない」と指摘。トランプ氏に対する支持は「非常に回復力がある」と評した。
タイムズの政治アナリストのネイト・コーン氏はポッドキャストの番組で、調査結果を踏まえ、「ハリス氏を十分理解していないと思っている有権者が不均衡に多いことがわかった」と説明。ハリス氏は記者会見やインタビューを避けることで、「一部の重要な支持者の間で若干の打撃を被っている」可能性を示唆した。
有権者が求めているのは「ジョー・バイデンからの大きな変化」と主張。「アメリカ人が不満を抱き、何か違うものを求めている時期に、トランプ氏は、現状からの大きな展開を示している点では、ハリスより非常に優位」と語った。
中道路線シフトの効果は?
The Hillは、有権者の44%がハリス氏が「リベラルまたは進歩的すぎる」と回答したとことから、共和党はハリス氏の定義づけに「ある程度成功」していると分析した。ハリス氏は、不法移民対策や天然資源の採掘技術に関して政策姿勢を転換するなど、より広い層の支持を獲得するために中道路線へとシフトしている。なお、トランプ氏が「保守的すぎる」と回答したのは32%だった。
世論調査の専門家、ネイト・シルバー氏は、自身のブログで、ハリス氏は、ペンシルベニア州のジョッシュ・シャピロ知事ではなくミネソタ州のティム・ウォルツ知事を選んだことで「中道に転向する大きなチャンスを逃した」と主張した。判断は「十分に妥当」だったとしつつも、「彼女は2019年のモードに舞い戻ってしまった」と述べた。
ハリス氏は、混戦となった2020年の民主党の予備選候補者討論会で、民主社会主義を標榜するバーニー・サンダース議員の提案する単一支払者医療保険制度を支持する意向を表明。党主流派と差別化をはかり注目を集めた。ただし、その後に一部撤回と受け止められる発言をするなどして、混乱を招いた。
なお、シルバー氏による「選挙人団予測モデル」では、ハリス氏はバイデン氏の後継候補として浮上した7月下旬に急速に支持を伸ばし、選挙に勝利する確率でトランプ氏を逆転したが、その後勢いを保てず、8月末にトランプ氏に再びリードを奪われた。現在、トランプ氏が勝利する確率は64.4パーセント、ハリス氏は35.3%とされている。