今週開催された副大統領候補討論会を見たジャーナリストや専門家は、JDバンス上院議員のディベート技術に驚いたようだ。
USA TODAYのジャーナリスト、ディス・ポタス氏は1日に掲載した論説で、バンス氏を副大統領候補に抜擢したのは「共和党にとって弱いと主張したのは誤りだった」と認め、「トランプ氏の政策の実績と実際の政策ポイントを効果的に融合できる人物」「トランプの有能バージョン」と賞賛した。
トランプ氏の政策は「トランプ氏が語ると支離滅裂だが、バンス氏だとはるかに良く聞こえる」と述べ、「共和党勝利に対する主な問題はトランプ氏にある、という考えを改めて強固にした」と主張した。
一方で、討論会が選挙戦に及ぼす影響はほとんどないと予測。討論会は「過去8年間で最高だった」にもかかわらず、「ほとんど重要でないのは残念だ」と綴っている。
トランプ氏の大統領候補者討論会のパフォーマンスに不満を示していた世論調査の専門家フランク・ランツ氏は、討論会直後、Xに「今夜以降、ドナルド・トランプ氏は口数を減らす必要がある。JDバンスにもっと語らせるんだ」「バンスの最も弱い瞬間は、トランプを擁護しようとしていた時だった」と投稿した。
ランツ氏はその後もCNNの番組で、バンス氏は大統領選で「誤用」されていた可能性があると指摘。「攻撃犬」よりも「トランプのアジェンダやビジョン、目的をはるかにうまく伝えることができる」と役割の見直しを提言した。
なお、同氏のフォーカスグループの「圧倒的多数」がバンスが勝利したと回答したという。
主流派メディアからもバンス氏を認める声が上がった。ニューヨーク・タイムズの政治記者リード・エプスタイン氏はポッドキャスト番組で、米国の国民が重要視している経済対策に関して、バンス氏が「トランプ氏のビジョンを説得力のある方法」で説明する一方、ウォルズ氏は「民主党が与えたスタンダードな反応」で回答するにとどまったと落胆を示した。
バンス氏は討論会で、製造拠点や産業基盤を中国やメキシコに移せば、中流階級が強くなるという「専門家」の主張は、虚偽だったと主張。これらは「超党派の合意」で、トランプ氏は「そうしないという知恵と勇気を持っていた。われわれはアメリカの製造業を復活させ、アメリカのエネルギーを解放し、自国でさらに製品を作る」「トランプが主張する政策、良識ある認識に耳を傾けるべきだ」と訴えた。
タイムズのポッドキャスト番組の共同司会者サブリナ・タヴァニース氏は、討論会で政策に関する議論が多く交わされたことに「驚いた」と述べ、「人々が礼儀正しく接する昔ながらの政治討論会のようだった」と振り返った。バンス氏について「トランプ氏のメッセージをリパーパスし、リパッケージ化するのがうまい」「丁寧な言葉を規格化する機械を通したかのように、非常に良く聞こえる」と感心したように語った。
討論会の終盤、ウォルズ氏から「彼は2020年に敗北したか?」と問われると、バンス氏は「今後に焦点を当てよう」と述べ、回答を避けた。
エプスタイン氏は、この討論会で「おそらく最も簡単な質問」であり「われわれが忘れないであろう瞬間だ」と指摘。ディベート後の話題の中心となり、「彼の正直さや誠実さに非常にダメージを与えるだろう」と語っている。