バイデン政権との違いは?ハリス氏 電撃メディア出演で浮かび上がった課題

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大統領選の投票日まで1カ月を切る中、カマラ・ハリス副大統領は、これまで控えてきた報道番組やトークショー、ポッドキャスト番組に立て続けに出演するなどメディアへの露出を強化している。僅差が予想される選挙を制するために浮動票にアピールする狙いがあるものの、バイデン政権との違いを明確にできなかった点が批判を受けるなど、課題を残す結果となった。

8日に放送されたABCのトーク番組「The View」では、過去4年間を振り返ってみて、ハリス政権であればバイデン大統領と異なる取り組みを成し得たと思うかと問われると、緊張した面持ちで「思い浮かぶものはない」と回答した。その後、インスリン価格の低下や、製造業を中心とした雇用拡大といったバイデン政権の成果を挙げ、「共通の優先課題」と説明した。

その日の夜に出演したスティーヴン・コルベア氏の番組でも、明確な回答を避けた。

コルベア氏:世論調査によると、特に無党派の有権者は、変化をもたらす選挙を切実に欲しており、変化という観点ではあなたを選ぶ傾向にある。あなたは現政権の一員ですが、ハリス政権での主な変化は何であり、また変わらないものは何でしょうか?

ハリス氏:もちろん私はジョー・バイデンではない。それが一つの答えだ。そして、ドナルド・トランプでもない。われわれが次世代のリーダーシップがどうなるかについての重要性について考える際、私が大統領に選ばれたらどうなるか。率直に言うと、私はアメリカ国民を愛しており、私たちの国を信じている。われわれは大志を抱いており、熱意や夢がある。素晴らしい勤労意欲を持っており、われわれが成長し続けた方法で成した成功を作り出せることを信じている。

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こうしたバラエティ型の番組に加えて、歴史あるCBSの報道番組「60 Minutes」では、より厳しい質問に直面。変化の一つとして公約に掲げる経済政策の実現性をめぐって、司会者が「しかし、我々が扱っているのは現実社会のことだ」と疑問を挟む場面もあった。

トランプ氏はこうしたハリス氏の発言に飛びつき、SNSに「これまでで最もおバカな回答」と投稿。「米国史上最悪の大統領、悪徳ジョー・バイデンと何も変わらない」と攻撃した。さらに、10日にペンシルベニア州で行った集会では、インタビューの一部を映し出し、ハリス氏や番組ホストらを揶揄した。

共和党のマイク・ジョンソン下院議長は、自身のXのアカウントに、「われわれが皆さんに伝えたことであり、カマラ・ハリスもあなた方に伝えた。ジョー・バイデンと何も違ったことはしなかっただろうと公然と認めている。・・・ハリス政権は同じ失策をさらに4年間続けるだけだ」と批判を投稿した。

反トランプ票の取り込みが期待できる共和党中道派も、ハリス氏の説得力不足を指摘している。

The Hillによると、ニッキー・ヘイリー氏の支持者は、同氏の支持団体の顧問に「トランプ氏とバイデン氏の両方に不満を抱いており、次の世代へのページをめくりたい」と述べる一方、ハリス氏は、バイデン氏との違いを「今後も問われるだろう」と指摘。「変化をもたらす候補者であるという説得力のある主張ができることを期待している」と語った。

一連の批判は、副大統領として現政権の中心的プレイヤーでありながら、変化の候補者として売り込むことの難しさを示しているともいえる。AP通信によると、ハリス氏は、バイデン氏に「深い忠誠心」を抱いており、大統領批判と解釈されることを恐れているほか、選挙目前にしてバイデン氏と決別することが日和見主義だと非難を招く懸念を抱いてもいるのだという。

ハリス氏の周囲からも、残された少数の未決定票を取り込むためにバイデン氏からの「決別」を促す声が上がっているという。

民主党戦略家のアリッサ・キャス氏はAP通信の取材に、「世界的なアンチ現職ムードが広がる中で、バイデン氏は人気のない大統領だ」とした上で、「有権者に対して、彼女が異なる対応をしたであろうことを明確に伝える必要がある」と主張。「正当であるかどうかは別として、有権者の不満の一部を認めることで、完全に安心感を抱かせるための方法だ」と加えた。

Mashup Reporter 編集部
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