米国では8月21日、1918年以来、約100年ぶりに大陸を横断する皆既日食(Total Solar Eclipse)が観測できる。西海岸は北オレゴンから、ネブラスカ、ミズーリを通過し、東海岸のサウスカロライナまで大陸を横断する形で、日食を見ることができる。全米中で日食が観測できるとあって、大きな話題となっている。
今回は、アメリカで、皆既日食が観測できる場所、観測時の注意点、カメラやスマートフォンで撮影するポイントなどをご紹介。当日は、航空宇宙局(NASA)のサイトでもライブ配信されるため、ぜひチェックしてみよう!
皆既日食とは
月が太陽の前を横切る際、その月によって太陽全体が隠れ、昼間にも関わらず暗くなる現象を日食という。太陽が月で完全に隠れる状態を「皆既日食」、太陽の一部が月で隠れる状態を「部分日食」、太陽と月が重なるが、その月が小さく見えるため輪がかかった状態で見える状態を「金環日食」と呼ぶ。
99年ぶりの観測
前回、アメリカで大陸を横断する皆既日食が観測されたのは1918年で、今回は実に約99年ぶりとなる。また、前回アメリカで日食が見られたのは、38年前の1979年2月26日。以下は、当時の放送の様子。
どこで何時に見える?
NASAが公開しているマップによると、14州で皆既日食を観測することができる。西海岸のオレゴン州リンカーンシティ(Lincoln City)の9:05am(西海岸時間)からはじまり、東海岸のサウスカロライナ州チャールストン(Charleston)で2:48pm(東海岸時間)に終了する。完全に太陽が隠れる時間は、約2分40秒間続く。
デラウェアでは75%、メイン州で50%の部分日食となるなど、アメリカ全土で見ることができると予測される。
SPACE.COMでは、米国内のどこで何時に何%の状態で月食が観測できるかを計算できるソフトを提供している。
ニューヨークのタイムズスクエアでは、71.39%の部分日食。東海岸時間の13:23分頃からスタートし、ピークの状態は14:45頃、16:00には終了となる。
日食を見る時の注意点
裸眼で見るのは、失明する危険もあるため、絶対にNG。サングラスの着用でも不十分で、必ず日食専用のメガネや双眼鏡、カメラのフィルターが必要だ。NASAではISO 12312-2の認定を受けた日食観測のための専用サングラスで見るよう推奨している。
NASAによるお勧めブランド一覧
ISO 12312-2認定メガネ
双眼鏡
日食を撮影しよう
ニューヨークでカメラ等の専門機材を販売するB&Hによると、カメラで撮影する場合、デジカメでも一眼レフでも撮影できる。
撮影の際は、太陽光によるレンズ等のダメージを防ぐため、皆既日食専用のソーラーフィルター(solar filter)を必ず装着することを勧めている。NDフィルター(neutral density filters)での代用については、同店以外のNASAやNikonでも、できないとしている。
また、日食中は暗くなるため、三脚とリモートシャッターがあるとよい。
暗くなってもフラッシュは使用しないこと。バッテリーとメモリーカードは念のため予備を用意しておこう。あとは、事前に撮影ロケーションを確認し、テストで太陽を撮るなどして、事前準備しよう。
iPhoneで皆既日食の写真を撮る場合は、カメラ同様にレンズを保護するため、ISO 12312-2の日食ガラス(eclipse glasses)もしくはソーラーフィルターシート(solar filter sheet)が必要となる。NASAによると、満月を撮影する要領で、手でサイズを調節し、マニュアル撮影するのがよいという。iPhoneも三脚があればより撮影しやすい。
いずれの方法でも、裸眼で太陽を見ないことが、最も重要だ。専用メガネを着用して撮影にのぞもう。
日本から観測するには
今回の日食は日本から見ることはできないが、NASAのアプリをダウンロードしたり、特設サイトやfacebookより、リアルタイムに鑑賞することができる。
来週末から、100年ぶりの大陸を横断する皆既日食を祝い、記念のワインやフードが発売されるなど、各地で様々なイベントが開催される予定となっている。当日は晴天であることを祈って、日食を鑑賞しよう。