16日に放送されたFOXニュースのカマラ・ハリス副大統領のインタビューの報道をめぐって、報道機関各社が奇妙なほど同一の表現を使用しているとして話題になった。
ヴィヴェク・ラマスワミ氏はXに、Googleの検索結果の画像を投稿。「testyという言葉がこれほど同時に使われているのを見たことがない」と指摘。「言葉の選択においてもメディアの協調性の高さを見ると、”報道の自由”を疑問に思わざるを得ない」と、偶然ではないとの考えを示唆した。
「testy」はイライラして怒ったり不機嫌な様子を指す言葉で、インタビューが緊迫し、敵対的だったことを示している。
実際、NPRのタイトル「Harris interview on Fox gets testy ― but also gives her a do-over(ハリスのFOXのインタビューは険悪に – しかし彼女には再挑戦の機会も)」をはじめ、CNN、AP通信、英紙ガーディアン、USAトゥデイの見出しに「testy」が用いられた。
約25分間におよんだインタビューは、ハリス氏にとってこれまでの友好的なメディア出演と異なり、移民問題や国境政策、バイデン大統領の能力などに関して突っ込んだ質問がなされた。ハリス氏は直接的な回答を避け、防御的な態度を示したり、声を荒げたりする場面もあった。回答を引き出そうとする司会のブレット・ベイヤー氏と口論になり、互いの発言を遮る場面が何度もあった。
ラマスワミ氏のほか、イーロン・マスク氏は「NPC(ノンプレイヤーキャラクター)メディア操り人形にコマンドを送っているのは誰だ?」とゲーム用語を交えて揶揄。「会ってみたいものだ」と加えた。
さらに「モッキンバードメディアはどれ?」「これは作り話ではない。モッキンバード作戦は健在だ」といったコメントが投稿され、#mockingbirdが一時トレンド入りした。
作戦は、冷戦時代に始まったCIAによる秘密工作で、海外特派員や報道機関と協力してインテリジェンスを収集するほか、政府に有利な記事を書かせるなどして世論に影響を与えることなどを目的としていたとされる。1977年、ワシントンポスト紙でウォーターゲート事件の調査報道を担当したことで知られるカール・バーンスタイン氏によって広範な内容が報じられた。少なくとも400人のジャーナリストや主要報道機関が関係したことが明らかにされた。
政府と報道機関、最近では大手SNSとの関係を警戒する声も上がっている。トランプ氏が当選した場合、政権入りの可能性が取り沙汰されているロバート・ケネディ・ジュニア氏は8月、政府の対外放送機関が作成した資料の一部を国内への配布を可能とした2013年の法改正を指し、「本質的にモッキンバード作戦への扉が再び開かれた」と述べるなど、警鐘を鳴らしている。