ハリス氏 トランプ氏を「ファシスト」攻撃、効き目は?

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選挙を13日後に控えた23日、カマラ・ハリス副大統領はCNN主催のタウンホールに出演し、どちらに投票するかを決めかねている有権者にアピールした。

世論調査では互角の状況ながら、トランプ氏がわずかに追い上げ、RealClearPoliticsによる現時点の集計ではハリス氏48.8%に対してトランプ氏48.6%となっている。選挙戦の最終局面で2~3%の未決定の有権者を動かせるかが焦点になる。

ハリス氏は10月に入って選挙活動の中心テーマをバイデン氏と同様の「デモクラシー」に回帰させている。この日は、トランプ氏は「ファシスト」であり、大統領としての適格性が欠如していると非難を繰り返した。一方、自分の政策や立場に関しては曖昧な回答に逃げる姿勢も見られ、現時点においてもなお自身の定義づけに苦慮している印象を残した。

トランプ氏は「ファシスト」

最初の質問では約5分間にわたってトランプ氏が政権に返り咲いた場合の危険を訴えた。

「ドナルド・トランプはますます不安定で国家に仕えるのに不適格~彼の首席補佐官や国家安全保障担当補佐官、元防衛長官、そして副大統領といった政権で働いた人々すべてが、彼は不適格で危険だと言っている~退役大将で首席補佐官として最も長く仕えたジョン・ケリー氏が、選挙の2週間前に行われたインタビューで、ドナルド・トランプがいかに危険かについて語った」。

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ケリー氏は、今週のニューヨーク・タイムズのインタビューで、トランプ氏は「間違いなくファシストという一般的定義に当てはまる」と述べ、賛否の議論を巻き起こしている。

次々と批判を繰り広げるハリス氏に、司会のアンダーソン・クーパー氏が「あなたはドナルド・トランプをファシストだと考えますか?」と念を押すと、「はい」とすかさず同意した。

あいまいな政策・立場

ハリス氏のメディア出演をめぐっては、直接的な回答を提示する代わりに、対抗馬の非難に徹したり論点を曖昧にする問題が指摘されている。

この日の議論は、移民対策から中東問題の立場、最高裁判事の人数の拡大、2019年に示したフラッキングや国民皆保険をめぐる立場の変更、富裕層への増税に関して限定的な質問がなされたが、ほとんど明確な回答を提示しなかった。

際立ったのは7分間におよんだ移民対策をめぐる議論で、不法移民に提供する支援に税金をどれほど投入するつもりかとの質問には一切答えず、その代わりに移民法改正に向けた超党派の法案通過を助ける意向を強調し続けた。ただし、司会から、同法案にトランプ政権下でハリス氏が愚策と一蹴した国境の壁建設プロジェクトが含まれている点を指摘されるなど、矛盾を露呈される結果となった。

中東問題については、「トランプ氏に比べてより親イスラエルですか」と立場を聞かれると、「私はドナルド・トランプは危険だと信じている・・・」と話し始め、「彼は独裁者を尊敬している」「金正恩にラブレターを送った」と述べるなど、トランプ批判に徹した。

未決定の有権者は動かず?

一連のパフォーマンスについて、CNNのアンカーで8月にハリス氏とのインタビューを行ったダナ・バッシュ氏は、未決定の有権者を動かすには及ばないとの考えを示した。

「私が話した人々から聞いていることを話すと、彼女のゴールが契約を締結することだったとすれば、彼らは彼女がそれをしたと確信していない」。

解説に加わったオバマ政権の元大統領顧問、デイビッド・アクセルロッド氏は「私が心配しているのは、彼女が質問に答えたくないときだ」と切り出し、「彼女はワード・サラダ・シティ(無意味な言葉の羅列)をするのが癖で、いくつかの回答でそれをやった」と批判。イスラエルに関する直球質問で「7分間の回答をしたが、そのどれもが質問とは関係がなかった」と加えた。

Mashup Reporter 編集部
Mashup Reporter 編集部です。ニューヨークから耳寄りの情報をお届けします。