マリファナを常習すると重要な認知スキルが永続的に損なわれるかもしれない、米研究

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マリファナ
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マリファナの重度な使用は認知機能に関わる脳の領域の活動を低下させる。コロラド大学医学部の研究者らは、合法化を背景に広がる大麻の使用に疑問を投げかける研究結果を明らかにした。

声明によると、「この種のものとして最大規模」だという研究で、2012年から2015年にMRIセッションに参加した1,000人を超える若者(22歳から36歳)の脳画像データを使用し大麻使用の影響を調査した。結果、ヘビーユーザーの63%、最近の使用者の68%が、ワーキングメモリのタスクを実行する際、脳の活動の低下が確認された。

「この脳活動の低下は、ワーキングメモリ、つまりタスクを実行するために情報を保持して使用する能力の低下と関連していた。たとえば、ワーキングメモリにより、人は与えられた指示に従うことや、数学の問題を解くなど、情報を頭の中で視覚化して操作することができる」。

論文の筆頭者のジョシュア・ゴーウィン博士はCNNのインタビューに、ワーキングメモリの例として、車の運転で車線変更の決定する際に、直前に確認した死角の情報を使うことや、上司との話し合いで自分の返答の機会が来るまで上司の言ったことを覚えることなどを挙げ、「ワーキングメモリが失われるということは、その情報を保持するためにより多くの努力を要求し、より困難になることを意味している」と説明した。

大麻使用の頻度に関して、研究者らは生涯にわたって1,000回以上使用した若者をヘビーユーザー(88人)、11回~999回を中程度のユーザー(179人)、10回以下をノンユーザー(736人)と分類した。

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タスクでは、ワーキングメモリ以外に「報酬、感情、言語、運動能力、関係性の評価、心の理論」がテストされたが、偶然ではなく脳機能に統計的に有意な影響を及ぼしていることが示されたのはワーキングメモリのタスクのみで、他のタスクに対する影響はそれほど大きくなかった。

また、ヘビーユーザーについて、ワーキングメモリのタスク中に脳の特定の領域に機能低下が発見されたとしており、「これらの領域は意思決定、記憶、注意、感情処理などの重要な認知機能に関与している」と分析を示した。

研究に使用されたデータは、1,000回以上マリファナを使用したヘビーユーザーが使用を控えてから何年も経過しているのか、または比較的最近ヘビーユーザーになったのかといった、ヘビーユーザーのマリファナ使用に関するタイムフレームを把握していない。ただしゴーウィン博士は「慢性的なユーザーがたとえ使用を止めたとしても、彼らはワーキングメモリにおける認知力の低下を示している」と、慢性使用による影響が長く続く可能性を語っている。

この点に関してミシガン大学のキャロル・ボイド教授はCNNの取材に、ヘビーユーサーを知るクリニシャンや友人、家族らは、食料品店で買い物リストを忘れたり、レシピに従えなかったり、うまくできないことを知っているとした上で、使用を止めたヘビーユーザーがどれくらいの期間でワーキングメモリが改善するのかかが「重要な疑問だ」と語った。

ゴーウィン博士は「マリファナが脳に及ぼす影響に関して答えを必要とする疑問はたくさんある。マリファナの使用が直接的に脳の機能を変えてしまうのか、どのくらいこうした影響が持続するのか、年齢の違いによる影響を理解するために次は大規模で長期的な研究が必要だ」と今後の必要性について語っている。

Mashup Reporter 編集部
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