トランプ復活の舞台裏:新刊本が明かす意外な事実5

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第1期トランプ政権の裏側を暴いた『炎と怒り』で知られるマイケル・ウォルフ氏。2月に発売した新刊本『All or Nothing: How Trump Recaptured America』では、トランプ氏が政権に返り咲くまでの波乱に富んだ経緯とともに、知られてこなかった意外な事実が綴られている。

メラニアはどこ?

選挙集会にほとんど参加せず、夫の出廷にも付き添うことのなかったメラニア夫人。ポルノ女優に支払った口止め料を違法に会計処理したとしてニューヨークで起訴された後、夫への同伴を求めるキャンペーン側の申し出に対し、『ナイストライ』と答え、笑い飛ばしたという。トランプ氏が正式な共和党の候補者として指名を受ける共和党全国大会には姿を見せたが、スピーチを行うことはなかった。トランプ氏の周囲はこの問題に触れないよう努めていたが、中には「彼女は彼を本当に嫌っているんだ」と主張する者もいたという。

「プリンター女子」と急接近

メラニア夫人との不仲が囁かれる一方で、トランプ氏と頻繁に行動を共にするようになったのが、2022年から陣営に加わった元ケーブル番組のホスト、ナタリー・ハープ氏(34)だった。「フォックスニュースタイプのブロンド」、「細身で高身長、ストレートの長髪にショートスカート」というトランプ氏好みのハープ氏は、徐々にトランプ氏にとって欠かせない存在となる。

トランプ氏が日課とする朝のゴルフに付き添い、ワイアレスプリンターを積んだゴルフカートで追っかけて、耳触りの良いニュースやメールの束を渡し、その中に胸の内を告白するような手紙を忍ばせたこともあった。裁判所にもプリンターとカートリッジ、バッテリーを入れたリュックサックを持ち込み、「気分の良いニュース」をトランプ氏の耳に吹き込んだ。過激な発言が証人や裁判所スタッフに危険を及ぼすとして、判事がトランプ氏に発言禁止を命じると、ボスに代わって自分の名でSNSに投稿すると主張。「私が刑務所に行く」と言い張り、周囲を困惑させたという。

関係者の間では、トランプ氏の感情がハープ氏が渡す切り抜きやレポートに左右されるように思えることが増え、ハープ氏自身が会議に割り込んで、プリンターを使って議題から注意を散らそうとするなど、影響力を行使するかのような振る舞いも目立つようになった。さらに、「アグレッシブに注意を求め、それが拒絶されたときの彼女の激怒」が、警備チームの懸念材料に浮上していた。

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暗殺未遂事件:CTスキャンを拒否した理由

7月13日、ペンシルベニア州バトラーで開いた集会に登壇したトランプ氏の耳に銃弾が命中した。右耳から流血しながらも会場に向けてガッツポーズをして力強く無事をアピールした後、病院に急行した。バトラー・メモリアル・ホスピタルに着いたトランプ氏は、CTスキャンを拒否したという。「斑」が見つかり、アルツハイマーの噂が広がるのを恐れたためだった。

暗殺回避策に「おとり飛行機」

暗殺未遂事件後、イランのような「敵国」が背後にいる可能性があると考えるようになったトランプ氏は、回避策としてトランプ・フォース・ワンの愛称で知られる愛機を「おとり飛行機」に使用。「彼のスタッフや客が空中で撃墜される可能性がある一方で、トランプ自身は秘密の飛行機に乗っていた」。

「やせ薬」が疲労に追い打ち?

選挙を目前に控えて激戦州の世論調査で過去最高の結果が出るなど、陣営に手応えが広がる中、トランプ氏は「今にも壊れそうな」ほど疲弊しているように見えたという。連日の選挙集会、寄付者との会合、電話といった激務に加えて、2回目の暗殺未遂事件以降、息抜きのゴルフも奪われていた。ただし、マール・ア・ラーゴに群がる取り巻きの間では、トランプ氏がオゼンピックまたはその類のやせ薬を服用しており、それが疲労を倍増させているのではないかと見られていたという。