ヴァル・キルマー あの作品への出演辞退を後悔していた

23
ヴァル・キルマー
Tinseltown/shutterstock

40年以上にわたる俳優人生で、『ドアーズ』のジム・モリソン、『バットマン』、『トップガン』のアイスマンなど、数々の名役を演じたヴァル・キルマー氏。4月1日に65歳でこの世を去った彼は、生前、ある監督からの出演依頼を断ったことを後悔していた。

2021年に出版された回顧録『アイム・ユア・ハックルベリー』の中で、キルマー氏はデヴィッド・リンチ監督の『ブルーベルベット』(1986年)への出演を断ったエピソードを明かしている。

デビュー作『イレイザーヘッド』以来、リンチ監督を好んでいたものの、『ブルーベルベット』については「ハイクオリティーなポルノ映画」であり、「成人映画を目指しているように思えた」と説明している。また、「性行為の描写が生々しく、自分はセックスについて保守的すぎるため、それを賛美する作品には参加できなかった」と拒否した理由も述べている。

しかし、映画が成功した後には「後悔が醜い頭をもたげた」と心境を吐露。「いつかリンチ監督と仕事をする日が来るかもしれない。マルホランドに住む寡黙なキャラクターでもいい。自分についてきちんと説明できず申し訳ない。デビッド」と将来への期待も滲ませていた。

このほか、ロバート・アルトマン監督作品への出演も断った過去に触れ、「あれほど多くの素晴らしい監督たちにノーと言わなければよかった」と振り返っている。

Advertisement

『ブルーベルベット』は、切断された人間の耳を発見した青年が真相を追求する過程で、汚職や犯罪、暴力、性的倒錯といった異常な世界に遭遇する物語。キルマー氏が断った主役ジェフリー・ボーモント役はカイル・マクラクランが演じた。この作品は1986年に公開され、翌年のアカデミー賞で監督賞にノミネートされている。2008年にはアメリカ映画協会によってミステリー映画ベスト10に選ばれたほか、『ストレイト・ストーリー』『ツイン・ピークス』『エレファント・マン』と並んでリンチ監督の代表作とされている。

当時キルマー氏は、『ブルーベルベット』の代わりにロン・ハワード監督のブロックバスター映画『ウィロー』への出演を決めた。この作品で共演したジョアン・ウォーリーと1988年に結婚し、二人の子供にも恵まれた。

遺族によると、キルマー氏は肺炎を患い、4月1日の夜、ロサンゼルスで家族や友人に見守られながら亡くなった。今年1月16日には、『ブルーベルベット』の監督デヴィッド・リンチ氏も78歳で他界している。