トランプ劇場:元側近に間違い電話 → ブチギレ

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L.E.MORMILE/shutterstock.com

3月、第一期トランプ政権で13ヶ月間にわたって大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたH.R.マクマスター中将のもとに、思いがけない電話がかかってきた。

電話の主は、いきなり「ヘンリー〜」と挨拶してきた。

マクマスター氏はすぐにピンときた。相手はトランプ大統領だった。しかし、何かがおかしい。なにしろ、マクマスター氏のファーストネームは「ハーバート・レイモンド」、ヘンリーではない。

「大統領、こちらはH.R.マクマスターです」と名乗ると、トランプ氏のテンションが急降下。「なんで俺がH・R・マクマスターなんかと話してるんだ?」と軽蔑混じりに吐き捨て、そこからはマクマスター氏への一方的な口撃が始まったという。

このちょっとした騒動、実はトランプ氏が電話をかけたつもりだったのは、同じ「マクマスター」でもサウスカロライナ州知事のヘンリー・マクマスターだったらしい。CBSニュースが関係者の証言として報じた。

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トランプ氏にとって、マクマスター氏はいわば裏切り者。CNNによれば、マクマスター氏は昨年出版した回顧録で、トランプ氏周辺のイエスマン体質や、トランプ氏本人のぶっ飛んだ発言の数々──「メキシコの麻薬組織を空爆しよう」「北朝鮮の軍事パレードをまるごと潰せばいいじゃないか」──を暴露していた。インタビューでは「トランプ氏にはもう二度と仕えるつもりはない」とも語っていた。

そんな因縁のある相手に間違って電話してしまうとは。

さらに輪をかけるように、ホワイトハウスの対応もトホホだった。CBSのコメント要請に対し、広報のスティーブン・チャン氏はマクマスター氏の本を「フィクションコーナーの投げ売り三流本」と嘲笑し、「ボロボロの評判を取り戻そうとする無駄な努力」とまで言い放った。

マクマスター氏にとってはとんだ迷惑。トランプ劇場はまだまだ終わりそうにない。