CNNの政治アナリストが示した分析によると、「後悔している」トランプ投票者の数値は、少なくとも現時点において民主党にとって前向きなレベルに達していない。
ハリー・エンタン氏は先週放送の番組のセグメントで「トランプ支持者が昨年の投票を後悔しているという記事をよく目にします。でもはっきり言いますが、2024年の選挙での行動を後悔している人はほとんどいません」と説明。その上で、YouGovによる世論調査の結果を示した。
それによると、トランプ投票者で「投票を後悔しており、投票方法を変えていただろう」と答えたのはわずか2%にとどまった。2017年の2月の調査では、この数値は4%に達していた。また、トランプ投票者で、依然として自分の決定に自信を持っていると答えたのは74%で、「多少の懸念」があると回答したのはわずか26%だった。
エンタン氏は「もし2024年に戻って再び投票するとしても、結果が変わるかと問われれば、そうではないと思います」と締めくくった。
ただし後悔しないことが、国の先行きを楽観視していることを意味するものではないだろう。同調査では、移民対策を除くすべての分野で、トランプ氏の政策に対する不支持が半数を超えた。とくに、選挙キャンペーンで「(就任)初日に終わらせる」と豪語したインフレ対策では、不支持が6割を超えている。
何故後悔しない?
ガーディアンのコラムニスト、アルワ・マダウィ氏は、「極端に分極化」した国家において、多くの投票者にとって重要なのは「自分がどれだけ苦しんでいるかではなく、相手側がどれだけ苦しむか」であり、こうした「恨みの政治」は学術的にも説明可能だと主張する。
同氏は、「復讐の天使」であるトランプ氏は、「支持者の多くが傷つけられるのを見たいと思っているような人々を傷つけている」と指摘。アイビーリーグに対する助成金の削除、性的マイノリティに対する攻撃、移民やプロテスターの取り締まりなど、共和党が長年スケープゴートにしてきた「悪者」に復讐していると例を挙げた。
また、トランプ支持者の多くにとって、株式市場の変動は生活に直接的な影響を及ぼさないとも指摘。「国民の上位10%が全株式の93%を保有している。格差が記録的な水準に達するとこのような事態が起きるのだ。失うものが何もない、後悔することがほとんどない人々が生まれる。システム全体を焼き尽くすことに喜びを感じる人々が生まれるのだ」と述べた。
ただし、関税政策によって生活必需品の価格が上がり続ければ、支持者に「嘘を吹き込み続ける限界」に達し、何も買えないほどに購買力を失ったトランプ支持者は「リベラル派を掌握する」ことで「ドーパミンを放出すること」はできなくなるだろうと見通しを語った。
ではその「ドーパミン放出」の限界はいつ訪れる可能性があるのか。
世論調査の専門家フランク・ランツ氏は、7月4日の独立記念日が重要だとする。
近年民主党からトランプ支持へ変わったウェストバージニア州の都市を取り上げた英紙テレグラフの記事で、取材に答えた同氏は、「彼らは約束を破った人々に復讐するためにトランプに投票した」とマダウィ氏と同様の考えを述べつつ、「彼らは物価上昇に耐えられず、もし関税が物価上昇につながれば、トランプ氏を罰するだろう」と語った。さらに、次の給料まで生活のやりくりに苦しむような有権者にとって、「問題は関税そのものではなく、ウォルマートやターゲットの価格上昇につながるかどうかだ」と指摘した。
国民の祝日には、こうした小売店で家族行事のための買い物をしたり、日々の仕事から離れてじっくり考える時間を持つ機会が生まれる。ランツ氏の見解では、それは5月のメモリアルデーではなく、3ヶ月後に訪れる。「7月4日にはピクニックに行く」と述べ、「有権者がトランプ氏に反旗を翻すまでには、あと3カ月あると思う」と語った。