北京オリンピックのメインスタジアム「鳥の巣」のデザインで知られる中国の現代芸術家で、活動家のアイ・ウェイウェイ(Ai Weiwei)による巨大なインスタレーションが、ワシントンスクエアパークの凱旋門に設置され、10月12日から公開される。
5つの行政区300箇所に設置
作品は、フェンスをモチーフとしたもので、パブリックアート基金の創設40周年を記念して計画されたエキシビジョン「Good Fences Make Good Neighbors」の一環となる。計画では、同公園のほかに、セントラルパークのドリス・C・ フリードマン広場(Doris C. Freedman Plaza)、フラッシング・メドウズ・コロナ・パーク(Flushing Meadows-Corona Park)、クーパーユニオン(Cooper Union)、エセックスストリートマーケット(Essex Street Market)など、ニューヨークの5つの行政区300箇所にフェンスをモチーフとした作品が設置される予定となっている。(パブリックアート基金のウェブサイトで設置場所一覧を確認することができる。)
パブリックアート基金は「国際的な移民危機や昨今の地政学的な観点」からプロジェクトを発案したといい、「セキュリティフェンスをパワフルで芸術的なシンボルとする。」と目的を述べている。
ワシントンスクエアの設置作業の様子。アイ・ウェイウェイ自身が、インスタグラムでシェアした。
作品は来週からの公開を予定しているが、作品の設置にあたり、地元から反対の声もあがっている。ニューヨークタイムズによると、ワシントンスクエア協会には、作品の設置が凱旋門の芸術的尊厳を損ない、毎年恒例のクリスマスツリーのライティングができないといった反対意見が、コミュニティメンバーから多く寄せられているという。
同協会の代表をつとめるトレバー・サムナー氏(Trevor Sumner)は、8月29日のインタビューで「計画は3月に発表されているが、パブリックアート基金が協会に伝えたのは4週間前で、変更や交渉の余地がない。」と計画の進め方に疑問を呈している。
冬の観光スポットとしても有名。ワシントンスクエアパークのホリデーツリー
これに対し、パブリックアート基金のディレクターおよびチーフキュレーターのニコラス・バウム氏(Nicholas Baume)は、市の関係機関や担当者より許可を得ており、コミュニティーの様々なメンバーにも連絡をとっている、と変更をしない意向を示す一方で、クリスマスツリーの移転費用については、基金側が支払う、と一定の配慮を示している。
作品は10月12日から来年の2月11日まで設置される。