2017年3月7日の国際女性デー(International Women’s Day)に突如、ウォール街のチャージングブル(Charging Bull)前に現れたフィアレスガール(恐れを知らない少女、Fearless Girl)。
設置期限が、2018年3月18日までとされていたが、ニューヨーク市と、少女像を設置した資産運用会社のステートストリートグローバルアドバイザーズ(State Street Global Advisors、SSGA)社の間の交渉により、ニューヨーク市のランドスケープとして、永久に設置される予定とAdweekが報じた。
フィアレスガールは、金融系の企業をはじめ、各産業におけるジェンダー・ダイバーシティの重要性を訴える目的でSSGAが設置した。当初1週間のみの設置を予定していた像は、2度の期間延長を経て、ニューヨークのストリートに常設されることとなる。
設置場所については、交通量の多い現在地は、観光客の安全が確保できないという問題が生じている。移設される可能性もあるが、まだ決定していないという。
多くの話題となったフィアレスガール
半年間で8億の宣伝効果
アナリストによると、25万ドル(約2,700万円)で製作されたブロンズ像は、設置初日から多くのメディアに取り上げられ、わずが半年間で740万ドル(約8億円)の無料マーケティング効果を生み出したとされている。
SSGAによると、少女像設置のキャンペーンは、同社が投資している企業476社のうち、76社は女性の昇格に有効に作用したと回答しているという。同社の親会社、State Street Corpは、2010年と2011年に女性やマイノリティの従業員に対する賃金未払いの件を指摘され、2017年に500万ドルの罰金を支払ったことも話題となった。
チャージングブルの作者は非難
2017年4月、チャージングブルを制作したアーティスト、アルトゥーロ・ディ・モディカ(Arturo Di Modica)氏は、弁護士とともに会見し、フィアレスガールを、広告による奇策だと強く非難した。
少女像の設置により、チャージングブルは「脅威やネガティブ」なイメージとなり、当初の制作意図が歪められ、連邦法Visual Artists Rights Act(VARA)による著作権の侵害として、少女像を移設するよう提訴の構えを示した。
チャージングブルは、1987年のブラックマンデー(株式大暴落)後の1989年、証券取引所の前に許可なく設置された。米国の金融復活の希望やシンボルとして、多くの人々から支持されたため、現在の場所に移設され、30年以上にわたり、観光スポットとして親しまれてきた。