25日、ニューヨーク市マンハッタン区地方裁判所(Manhattan Supreme Court)の判事は、トランプ大統領のサポーターがバーから追い出され、損害賠償を求めていた訴訟に対し、トランプ大統領を支持することは、宗教的な信念ではなく、政治的な信念に基づく差別であり、違法ではないとして訴えを棄却した。
ニューヨークポスト紙によると、フィラデルフィア在住の会計士、グレッグ・ピアテク(Greg Piatek)さんは、トランプ大統領の就任式後の2017年1月、9/11メモリアルを訪れた後、友人と共にウエストヴィレッジのバー、ハピエストアワー(Happiest Hour Bar)に立ち寄った。その際、ピアテクさんは、トランプ大統領のスローガン「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン」(MAGA)の帽子をかぶっていたため、不当な扱いを受けた上に、店から追い出されたという。
バーのマネージャーは、「トランプをサポートする者は、ここでは歓迎されない!あなたにはサーブしないから、すぐに出て行ってくれ。」とピアテクさんに伝えた。
マネージャーの扱いに怒りを覚えたピアテクさんは、アメリカ人であるという感覚を傷つけられたとし、損賠賠償を求め、マンハッタンの地方裁判所にバーを訴えた。
政治信条は宗教ではない
ピアテクさんの弁護士は、店の対応は宗教的な差別であると主張。MAGAの帽子は、9/11の犠牲者への精神的な追悼を示すものだとし、この事件は、彼の人生の中で差別的な辱めをうけた「最も悲しい時間」で、精神的なダメージを被ったとしている。
一方、ハピエストアワー店の弁護士エリザベス・コンウェー(Elizabeth Conway)氏は、州と市の差別法の下では、政治的な信条ではなく、宗教のみが保護される。トランプ大統領を支持することは宗教ではないと主張した。
デビッド・コーエン(David Cohen)裁判官は、原告から、帽子と信仰の関連性が提示されておらず、今回の事件で受けた精神的損害は些細なものだと述べた。トランプを支持したという理由で店内から出されたのは、宗教の自由を保障する憲法修正第1条の攻撃に当たらず、不法行為ではないとし、訴えを棄却した。
ニューヨークでは、MAGAハットをかぶった観光客の男性が、地下鉄車内で帽子を取り上げられ、ナイフをつきつけられたり、帽子をかぶった別の男性がメキシコからの移民をユニオンスクエア駅で突き飛ばしたりするなどの事件が発生している。