セサミストリートの制作会社「セサミ・ワークショップ」(Sesame Workshop)が、米国で8月に公開される映画「ハッピータイム・マーダーズ」(The Happytime Murders)の製作会社STXエンターテインメント対し、広告表現の変更と損害賠償を求めた裁判で、マンハッタン連邦地裁のバーノン・ブロデリック(Vernon Broderick)判事はセサミ側の訴えを退けた。
「ハッピータイム・マーダーズ」は、セサミストリートの生みの親、故ジム・ヘンソン(Jim Henson)氏の息子、ブライアン・ヘンソン(Brian Henson)氏が監督を務めるクライムコメディー。パペットと人間が共存する世界で、人気コメディアンのメリッサ・マッカーシー(Melissa McCarthy)扮する元探偵、コニー・エドワーズ(Connie Edwards)が、かつての相棒、パペットのフィル・フィリップス(Phil Phillips)とともに、仲間達を襲う連続殺人事件に挑む。
予告編には、パペットを使用したドラッグシーンや、売春、セックスシーンが含まれており、R指定映画となっている。
セサミワークショップは、予告編には「NO SESAME. ALL STREET」というキャッチコピーが含まれていること、マペット風の人形が登場し、消費者にセサミストリートとの混同を与えることから、セサミストリート・ブランドに「壊滅的で取り返しのつかない損害」を与えるとし、先週、マンハッタンの連邦地裁に訴えを起こしていた。
CBSニュースによると、予告編を見たブライアン氏の妹、リサ・ハドソン(Lisa Henson)氏は、マーケティング手法に「ひどくがっかりした。」と憤りをあらわにしたという。キャッチコピーの使用は、監督のブライアン氏が、承認を与えたと言われている。
Pagesixによると、裁判官は、キャッチコピーの「NO SESAME. ALL STREET」は映画とテレビ番組の違いを明確にしているとして、セサミ側の主張を退けた。また、セサミワークショップの弁護人が、1970年にポルノ映画「Debbie Does Dallas」とダラス・カウボーイズのチアリーダーに与えた損害との類似性を主張したが、裁判官はポルノ映画ではない、と主張を否定した。
判決を受け、STXエンターテインメントは声明を発表。判決によって、セサミストリートとブライアン氏が創り出した、新たな世界との明確な違いを設けつつ、ジムヘンソン氏の遺産に敬意を示す、という制作意図が強調された、と述べている。
現在、「ハッピータイム・マーダーズ」のYoutubeのトレーラー動画は225万回以上再生されている。皮肉にも、裁判が映画のプロモーションに一役買ってしまったかもしれない。