22日、全米テニス協会(USTA)は、建替えが完了したルイ・アームストロング・スタジアム(Louis Armstrong Stadium)を一般公開した。外壁にテラコッタルーバーを使用し、開閉式の屋根が設置された。テニススタジアムとしては、世界初の自然換気システムを採用している。席数は旧スタジアムより4,000増加し、14,061人を収容する。
同スタジアムは、デトロイトを拠点とするロセッティ(Rossetti)社がデザインした。コートに近いアリーナ席は、チケットの予約が必要だが、上層席はフラッシングメドウズの一般入場料(general admission)で試合を鑑賞することができる。
建設費660億円のトランスフォーメーション
建設費6億ドル(約660億円)、完成に5年を費やしたトランスフォーメーション計画は、今回のルイ・アームストロング・スタジアムの完成をもって終了する。
同スタジアムは、1964年に建設され「シンガー・ボウル」(Singer Bowl)の名で知られていたが、70年代に全米オープンの会場となり、クイーンズ在住の伝説のトランペッター、ルイ・アームストロングの名を冠することとなった。
近年は、雨天により試合が一時中断するなど、度重なるスケジュールの変更が問題となっていた。5年連続で決勝戦が月曜日に持ち越された、2012年のマレー対ジョコビッチの決勝戦の11ヶ月後に、USTAは会場の拡張計画を発表した。
5年間で、座席数23,771のアーサーアッシュスタジアム(Arthur Ashe Stadium)に開閉式の屋根が設置され、8,125席のグランドスタンドや第17コートなどが新たに建設。サウスキャンパスのリノベーションも実施された。席数は全体で12,000席増加し、より多くの観客を動員し、混雑なども緩和できるという。
USTAのカトリーナ・アダムズ(Katrina Adams)会長は、「スタジアムは、この5年間における最後の宝物だ。」と完成を称えた。なお、工事終了と50周年が重なったのは偶然だという。
英ガーディアンによると、2週間開催されるトーナメントでは、70万人以上を動員し、1億ドル(約110億円)以上のチケット収入が見込まれる。そのため、公的資金を投入することなく、同プロジェクトの実現が可能となった。
オープンを記念し、クイーンズ出身で4度のUSオープンチャンピオンに輝いたジョン・マッケンロー(John McEnroe)、弟のパトリック・マッケンロー(Patrick McEnroe)、ジェームズ・ブレイク(James Blake)、マイケル・チャン(Michael Chang)らテニス界のレジェンドが、初試合を行った。
今大会からは、ウオーミングアップ時間などを精密に計測するショットクロック(shot clock)や、判定処理システムのホークアイ (Hawk-Eye) をすべてのコートに導入される。また、優勝賞金の金額は、10万ドル増額され、380万ドル(約4億2千万円)となる。
第50回全米オープンテニスは、8月27日から9月9日まで開催される。