トランプ政権は、22日、フードスタンプや公営住宅、メディケイドなどの公的扶助を利用した外国人に対し、ビザや永住権(グリーンカード)の発給を制限する新たな案を発表した。
米国移民法では、パブリックチャージ(公共の負担)になる可能性の高い人を、永住権発行の対象者から除外することを要件としてきた。しかし、パブリックチャージ(public charge)に関する定義は、限定的であったため、これらの事由により、政府がビザを却下することはなかった。
今回、米国土安全保障省が提出した草案は、外国人がビザや永住権を申請する際、過去に一連の公的扶助を利用した場合には、移民局職員がビザや永住権を却下することができる。
該当する給付内容には、メディケイドやメディケアパートDの低所得者向け医療補助、セクション8の住宅給付、フードスタンプと言われる食料支援プログラム(SNAP)が含まれる。
キルステン・ニールセン(Kirstjen Nielsen)国土安全保障長官は、連邦法で、米国に移住する人々は、財政的に自立できることを証明する必要がある。今回の見直し案では、移民の自立を促すことを目的とした法律を執行し、納税者の負担にならないことを確約することで、限りある財源を保護すると、ロイターに声明で述べた。
市民権申請者は対象外に
今回の見直しは、米国市民権を申請する人ではなく、ビザと永住権を申請する人に適用される。また、米国市民権を持つ子供の扶養家族ではなく、個別の申請者に対して支給された公的扶助が対象となる。
議会承認は不要
新たな法の見直しは、合法移民を制限するトランプ政権の取り組みの一貫だと見られている。政権は、ビザの抽選プログラムや、家族ベースの移民を停止することを提唱しているが、これらは議会の承認を必要とする。
見直し案は、議会の承認が不要で、週明けにも連邦公報に公示される予定。公示後は、60日間の意見公募期間を経て、政府が意見内容の検証を行う。必要に応じて、修正を加え、最終版が施行される。
国土安全保障省によると、永住権申請者は年間38万2000人、ビザ申請者は51万7,500人存在する。法が施行されると、これらの人々に生活保護テストを行うとしている。また、1万ドル(約110万円)以上の保証金を証明する必要が生じる可能性がある。
しかし、VOXによると、難民や亡命者を除き、多くの移民は、永住権を5年以上保持していない限り、通常は、政府の公的給付を受給することはないため、多くの移民は影響を受けないとしている。しかし、教育水準や年収を理由に発給が拒否される可能性はあるという。