ニューヨーク近代美術館(MoMA)は10月21より、アメリカを代表する現代芸術家、ブルース・ナウマン(Bruce Nauman)の大規模な回顧展「Bruce Nauman: Disappearing Act」をスタートした。
クイーンズのPS1全館と、ミッドタウンのMoMA6階を使用した大規模な企画展は、モダンアート界の鬼才、ブルース・ナウマン(1941-)の全キャリアをカバーする165点を展示する。
同美術館がブルース・ナウマンの回顧展を実施するのは、1995年以来2度目となる。
開催にあたり、チーフキュレーターのキャシー・ハルブライヒ(Kathy Hlbreich)は、ナウマンを「50年のキャリアにわたり絶え間ない発明をこのレベルで維持できる数少ないアーティスト」と述べ、創作を「変化する時間、音、言葉、動きによって生じる空間的・心理的緊張がいかに人間の経験を形作るかということを探索しつづけている。」と紹介。映像インスタレーションやネオン、リトグラフ、彫刻、写真など広範なスタイルの作品群が展示される。
展示期間は、2019年2月18日(MoMA)、2019年2月25日(MoMA PS1)まで。
同企画展は、バーゼルのシャウラガー(Schaulager)美術館で、昨年3月から8月まで開催された。
「Disappearing Acts」に関して
学芸助手テイラー・ウォルシュ(Taylor Walsh)による紹介より抜粋
ブルース・ナウマンは、50年以上もの間、確立されたジャンルを解き、その創作過程で新たなジャンルを発見しながら、ありとあらゆる芸術的な手法を用いて活動を続けたきたとウォルシュ氏は述べている。
24歳で美術学校(カリフォルニア大学デービス校)を卒業したブルース・ナウマンは、サンフランシスコの空いた食料品店をスタジオとして、作品の製作をスタートする。この時、「自分の行っていることは、アートになりうる」と思ったという。
スタジオに広がったゴミや漆喰の粉末を撮影した「Composite Photo of Two Messes on the Studio Floor」(1967)のように、創作活動そのものを作品としている。
自身の体を使って、1時間もの間エクササイズする様子をビデオに収めた、アコニックなビデオシリーズ 「Bouncing in the Corner」 (1968)、「Walk with Contrapposto」(1968)、「Slow Angle Walk [Beckett Walk]」(1968)などは、鑑賞する者に、アーティスト同じ耐久をテストするような作品。
1980年代には、設定はより精巧となり、作品は辛辣なトーンとなる。天井からぶら下げられた4脚の椅子「White Anger, Red Danger, Yellow Peril, Black Death」 (1984)。
ネズミを入れた迷路とドラムの騒音を映像にした「Learned Helplessness in Rats (Rock and Roll Drummer) (1988)」は、肉体的な閉塞と、精神的な緊張感を同一視する。
近年の作品は、より瞑想的で洗練されたものとなる。音声のみの作品「Days」(2009)では、次々と明るみになる人生をどのように推測しているかを考えさせる作品。
「Contrapposto Studies i through vii」(2015/2016) は、1968年の映像作品「Walk with Contrapposto」をリトレースした作品。時間がどのように体を変質していくのかを明確に描写する。
Bruce Nauman: Disappearing Acts
期間:10月21日から2019年2月18日まで(MoMA)、2019年2月25日まで(MoMA PS1)
www.moma.org