トランプ大統領は20日の声明で、サウジアラビアについて「我が国の利益を確保するために堅実なパートナーであり続ける」と述べ、ジャマルカショギ氏殺害に関する捜査の結果に関わらず、同盟関係を堅持する意向を表明した。
ワシントンポストのコラムニストでサウジ国籍のジャーナリストのジャマル・カショギ氏は10月2日にイスタンブールにあるサウジ総領事館を訪れた際、建物内で殺害された。事件について米中央情報局(CIA)は、殺害がムハンマド・ビン・サルマン皇太子の指示によるものであると結論づけたことを、ワシントンポスト紙が関係者の話として17日に報じていた。
声明でトランプ大統領は、サウジアラビアは米国へ4,500億ドルを投資することに同意していると述べるなど、雇用創出や軍需産業に対する経済効果について言及。「愚かにも契約を破棄するならば、ロシアと中国が莫大な利益を被る…米国から彼らに対するすばらしいギフトになるだろう」と述べるとともに、対イランやイスラム過激派のテロに対するサウジアラビアの重要性や、原油価格における協調関係を強調。「アメリカが国家の利益を追求し、我々に危害を加えようとする国々と強く戦っていくことを確実にする」と関係堅持の理由を述べた。
皇太子のカショギ氏殺害への関与については、サルマン国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子が強く否定していると述べつつ、「この悲劇的な出来事についてムハンマド・ビン・サルマン皇太子が知っていたことも十分にありうるが、そうでなかったかもしれない」と曖昧な表現にとどめた。
さらに「ジャマル・カショギ氏殺害を巡るすべての事実を把握することはできないと言われている」とワシントンポスト紙の報道を暗に否定し、「すばらしい独立捜査の後、我々はすでにカショギ氏の殺害に関与した17人のサウジ人に制裁を発動した」と述べ、これ以上の追及や制裁を行わないことを匂わせた。
また、「政治的、または他の理由で、違う方向に進めたい議員がいることは理解しており、そうするのは勝手だ。アメリカの絶対的な安全保障と安全性が貫かれているものに限り、どんなアイデアでも検討する」と、強力な制裁や関係見直しを求める議員らをけん制した。