グラミー賞を3度受賞したジャズ・ポップス界の大御所シンガー、ナンシー・ウィルソンさんが死去した。81歳だった。
ウィルソンさんのマネージャーのデブラ・ホール・レヴィーさん(Devra Hall Levy)は、長い闘病の末、13日夜にカリフォルニアの自宅で亡くなったとAP通信に伝えたという。
ナンシー・ウィルソンさんは1937年、オハイオ州 チリコシー生まれ。1959年、ジャズサックス奏者のキャノンボール・アダレイの勧めでニューヨークへ移住。
1961年のシングル「Guess Who I Saw Today」でデビューを果たし、1964年のアルバム「(You Don’t Know) How Glad I Am」がビルボードで11位を獲得。同アルバムで翌年のグラミー賞最優秀R&Bパフォーマンスに輝いた。
さらに、2005年に「R.S.V.P (Rare Songs, Very Personal)」で、2007年には「Turned to Blue」でグラミー賞の最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム賞を獲得した。
NBCによると、ウィルソンさんはジャズシンガーと呼ばれるの嫌い、「ソング・スタイリスト」という言葉を好んだという。
2010年のインタビューでは「私が今日歌っている音楽は、1960年代にはポップ音楽だった」と話し、「ジャズシンガーとして自分を考えたことはない….歌詞を受けて、わたしのものとする。私は自分を、歌詞を解釈する人だと考えているわ」と語っていた。
ウィルソンさんは、2011年、家族、特に孫たちとの時間を過ごしたいとして、ライブパフォーマンスから引退していた。
訃報を受け、歌手のジョン・レジェンドさんはツイートで「彼女とともに時間を過ごし、個人的に美しい声を聞くことができて、とても嬉しかった」と思い出を語った。
歌手のチャカ・カーンさんは、「彼女のボーカルとスタイルは、ソングスタイリストとして比類ないものだった」と称え、「友人、そしてメンターの彼女を失って切に悲しい」と別れを惜しんだ。