ライン小売大手、米アマゾン(Amazon)が、ニューヨークを代表する高層ビル、クライスラービル(Chrysler Building)のリース契約を検討していることが分かった。NYポスト紙が報じた。
築90年のアールデコ様式のクライスラービルは、アラブ首長国連邦の政府系ファンド、アブダビ投資庁(Abu Dhabi Investment Council、ADIC)が90%が保有し、残りを不動産会社ティッシュマン・スパイヤー(Tishman Speyer)が所有する。先日、クライスラービルが売りに出されているとの報道が流れた。
Commercial Observerによると、ティッシュマン・スパイヤーは、1997年にクライスラー・ビルディングを購入し、改装に1億ドルを費やした。関係者によると、同社は、リーマン・ショックが始まる直前の2008年、90%の所有権を市場最高値の8億ドルで、ADICに売却したと言われる。
アマゾンは複合施設のリース契約を検討
ポスト紙によると、アマゾンがリース契約を検討しているのは、クライスラービルのほか、隣接する28,500平方フィートの「クライスラー・トライロンズ」(Chrysler Trylons Trylons)とオフィスビルの複合施設が含まれているという。
フィリップ・ジョンソン(Philip Johnson)がデザインした尖ったピラミッド型のクライスラー・トライロンズは、広さ28,500平方フィートで、1階にはレストラン「キャピタル・グリル」(Capital Grille)が入る。
クライスラービル等の販売を担当するCBREインベストメントのDarcy Stacom氏は、トライロンズには合計70,000平方フィートの空中権が含まれており、土地の所有権は、ADICとティッシュマン・スパイヤーが所有する。
クライスラービルの土地の所有権については、クーパー・ユニオン・スクール(Cooper Union school)が2017年から有しており、土地の年間家賃は750万ドルから2028年には4,100万ドルへと上昇するとされている。
現在クライスラービルには、クリエイティヴ・アーティスツ・エージェンシーや、モーゼス&シンガー法律事務所、シェアオフィスのSpacesなどがテナントとして入居している。
アマゾンは、今年クイーンズのロング・アイランド・シティ(Long Island City)に第2本社建設を発表。今年中には、シティバンク(Citibank)の本社、ビルワン・コート・スクエア(One Court Square)に仮入居すると見られている。