テキサス州のカトリック教会は1月31日、過去80年に遡り、児童性的虐待を行なった疑いのある300人近くの聖職者のリストを公開した。
名簿は15の司教区がそれぞれ作成し、オンラインに公開された。すでに刑事訴追されている名も含まれる。また他界している聖職者も多い。サンアントニオが最も多く、56名の聖職者の名を公開した。内容は教区によって少しづつ異なるが、多くが簡単な略歴を公開している。
米国カトリック司教協議会会長でガルベストン-ヒューストン大司教のダニエル・ディナルド枢機卿は公開について、正しい行いであるとし、「苦しむ人々に癒しと希望を与えるため」と声明で述べた。
昨年8月、ペンシルバニア州の大陪審は、同州のカトリック教会が、過去70年間にわたる300人以上の聖職者による児童性的虐待を隠蔽したとするレポートを発表した。被害者は1,000人以上にのぼり、記録の紛失や恐怖のため告発に至らないケース考慮すると、さらに数千人の被害者がいることが考えられるという。
ペンシルバニア州の動きは他州へと波及。イリノイ州の司法長官は昨年12月、少なくともカトリック教会の500人以上の聖職者が、未成年に対する性的虐待の疑いがあると発表。司法長官は、イリノイ州の司教区は自ら調査する能力に欠けており、「自分たちで聖職者の性的虐待を解決しないだろう」と結論づけた。
イリノイ州のカトリック人口は340万人で、テキサスの半分にも満たないという。ニューヨークタイムズによると、ダラスの被害者の会”Survivors Network of those Abused by Priests”のスポークスマンのポール・ピーターソン氏は、「300人は馬鹿げているほど低い」と教会側の調査に疑問を語った。さらに公表された内容が詳細に欠けており、州や連邦捜査当局による調査の必要性を主張している。
テキサス州では検察による調査は開始されていないが、ケン・パクストン司法長官は、州または連邦捜査当局から要請に応じて支援を行う準備をしているとしている。