米アマゾン(Amazon)のコミュニケーション政策部門のトップ、ジョディ・セス(Jodi Seth)氏はNBCに出演し、アマゾンがニューヨークの第2本社建設計画中止に至った経緯を説明した。
建設決定の発表後、州や市の議員らはアマゾンとの面談を拒否し、建設計画を絶え間なく非難し続け、3ヶ月に渡って状況は改善されなかったことを明かした。
クイーンズ/ブロンクス地区より選出された新人のアレクサンドリア・オカジオ・コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)下院議員と、ジミー・ヴァン・ブラマー(Jimmy Van Bramer)ニューヨーク市議会議員の名前を挙げ、複数の政治家が、異なる理由でプロジェクトに異議を唱えたと述べた。コルテス氏は巨大企業による富の独占を反対し、ブラマー氏は労働組合の結成を推進している。(アマゾンは、労働組合反対派として知られる。)
セス氏は、クオモ州知事が建設の誘致に協力的だったため、建設計画の承認に自信を持っていたという。しかし、州の公共企業体監理委員会による最終決定が、2020年の4月もしくは5月までかかることが分かった。タイムラインと議員からの反対を鑑みて、ベソス氏のチームが建設計画中止を決定した。
アマゾンは現在ニューヨークに8,000人の社員を抱えており、今後その数を増加する予定だが、第2本社については、ニューヨークとの話し合いを再開する予定は一切ないと述べた。
責任は誰に?
ニューヨークでは中止発表直後から、アマゾンの建設計画を中止に追い込み、高額の給与が支払われる25,000人の雇用創出の機会を失ったことへの責任者探しが始まっている。
建設計画中止が発表された後、コルテス議員は、「ニューヨークの市民がアマゾンの企業欲や、労働者の搾取、世界一裕福な人物のパワーを退けたと祝福するツイートを投稿した。
デブラシオ市長は、アマゾンは最高の場所と人材と仕事を行う機会を棒に振ったと同社を非難するツイートを投稿。さらに、16日のニューヨークタイムズのオプエドでアマゾンの企業体質を批判し、富の集中による弊害などを指摘した。
クオモ州知事は、「一部の政治家がコミュニティよりも自身の狭い利害をコミュニティよりも優先した」として非難。州に甚大なダメージを与えたとして、「この経済損失の責任を取るべきだ。」と主張した。
ブルームバーグのジョー・ノセラ(Joe Nocera)氏は論説を寄稿し、アマゾンはコミュニティとの関わり方を誤ったとの指摘に対し、これらはクオモ州知事やビル・デブラシオ(Bill de Blasio)ニューヨーク市長の仕事だと指摘。市長は声明でアマゾンは機会を棒に振ったと述べたが、アマゾンによる莫大な雇用創出の機会を棒に振ったのは、州知事と市長の方だと、その傲慢さを厳しく非難した。
アマゾンから1,500人の雇用を約束されていたクイーンズの公営住宅クイーンズブリッジ団地のアクティビスト、Billy Robinsonさんはノセラ氏に怒って連絡してきたという。市は失われた雇用のバックアップ計画はあるのかと疑問を述べた。
ノセラ氏は大企業の受け入れを計画する他の都市や州は、今回の件を教訓にするよう助言し、ニューヨークは数ヶ月前にそのことを知るべきだったとした。