2020年大統領選に向けて民主党の候補指名を目指すエリザベス・ウォーレン上院議員は22日、公約として、6,400億ドルの政府予算を投じて学生ローンを帳消しにする計画を発表した。
ウォーレン議員は、学生ローンの膨れ上がる債務が、数百万世帯を押しつぶし、経済の重荷となっていると指摘。住宅所有率を下げ、起業家の減少にもつながっているとし、学生らが学位を取得する前に中退を余儀なくされていると問題を述べた。
原因は、州政府と連邦政府が、パブリックスクールのように高等教育を無料で万人が利用可能なものとする代わりに、富裕層と巨大企業の税を削減し、高等教育の費用負担を学生とその家族に押し付けているからだと語った。
具体的には、世帯所得が25万ドル(2,750万円)以下の債務者に対し、所得に応じて一人あたり最大で5万ドル(550万円)の債務を取り消す。これにより、債務者人口全体(4,500万人)のうち、95%の債務負担がなくなるという。取り消しにより、アフリカ系アメリカ人やラテン系アメリカ人の富の増大、白人との所得格差の減少すると主張。また中流階級の大きな刺激策となり、経済成長を促すと述べた。
ウォーレン議員は、ローン取り消しとセットで大学の無償化も提案。すべてのアメリカ人に2年制または4年制大学に無料で通う機会を与えるとともに、特に低所得家庭の学生には、部屋代や書籍などの授業料以外のコストについても、追加投資を行うと計画を発表した。
公約実現の費用について、ローンの取り消しに6,400億ドル、大学無償化プログラムに10年間で1兆2,500億ドルがかかると試算を公表。高等教育への投資が経済効果につながるとしつつ、今年1月に公表した超ミリオネアタックスでカバーが可能だと語った。超ミリオネアタックスブランでは、財産が5,000万ドル(55億円)以上の約7,5000世帯の富裕層を対象に、5,000万ドルを超える分につき2%、10億ドルを超えるには3%の税金を課すとしている。
タックスプランに加え、ウォーレン議員は3月、アマゾンやフェイスブック、グーグルなど巨大ハイテク企業の分割を含む、ITセクターの構造改革プランを発表している。