『ボーイズン・ザ・フッド』(Boyz n the Hood)で知られるジョン・シングルトン(John Singleton)監督が29日、ロサンゼルス内の病院で死去した。広報担当者は、家族や友人に囲まれながら穏やかに亡くなったと発表した。51歳だった。
シングルトンさんは、17日に脳卒中で入院した後、4日前に意識不明の昏睡状態に陥ったと報じられていた。TMZなどによると、シングルトンさんはコスタリカ旅行から帰国した後、片方の足に痛みを感じたため、17日にロサンゼルスのシーダーズ・サイナイ病院で診察を受けた。診察により、脳卒中であることが判明し、その後状態が急激に悪化した。親族は「生命維持装置を外すという決定には大変苦しんだ。医師の助言に基づき、何日もかけて決断を行った。」と声明で述べた。
アフリカ系アメリカ人で初のオスカー監督賞ノミネート
ロサンゼルス郡サウスセントラル生まれのシングルトンさんは24歳の時、1991年公開のデビュー作品『ボーイズン・ザ・フッド』で監督賞と脚本賞にノミネートされた。アフリカ系アメリカ人として初めて、かつ史上最年少での監督賞ノミネートという快挙を成し遂げた。
カンヌ国際映画祭で上映された際、20分間のスタンディングオベーションを受けたという。自身が育ったサウスセントラルを舞台とした作品は、南カリフォルニア大学映画芸術学部(USC)在学時代のアイデアだったとViceに語っている。同作品は2002年、米国立フィルム登録簿に保存されることが決定した。
このほか『ポエティック・ジャスティス/愛するということ』(Poetic Justice)、『ハイヤー・ラーニング』(Higher Learning)、『フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い』(Four Brothers)、『ワイルドスピードX2』(2 Fast 2 Furious.9)など9作品を監督した。
『ハッスル&フロウ』(Hustle & Flow)などのプロデューサーとしても知られる。
また、テレビシリーズ「アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件」 (The People v. O.J. Simpson: American Crime Story)、「エンパイア」(Empire)、「ビリオンズ」(Billions)のエピソードの監督を務めた。
エディ・マーフィーなどが出演するマイケル・ジャクソン(Eddie Murphy)のショートフィルムビデオ「Remember the Time」を監督している。
作品は、キャラクターに政治的かつ社会的なメッセージを代弁させているとして非難されることもあったという。
シングルトンさんは、以前から高血圧に苦しんでいた。親族は声明で、40%のアフリカ系アメリカ人が高血圧に苦しんでいるとして、Heart.orgで症状などを確認してほしいと呼びかけた。
さらに、シングルトンさんは毎朝カヤックに乗り、映画製作以外には、自身の船J’s Dreamで太平洋を往復することを楽しみにしていたと明かした。
AP通信によると、シングルトンさんは、2度の結婚暦があり、5人の子供がいる。
女優で監督のレジーナ・キング(Regina King)や、ラッパーのスヌープ・ドッグ(Snoop Dog)、俳優のジェイミー・フォックス(Jamie Foxx)、エイヴァ・デュヴァーネイ(Ava DuVernay)監督、ジョーダン・ピール(Jordan Peele)監督らは、シングルトンさんへの追悼メッセージをSNSに投稿している。