民主社会主義者を自認するバーニー・サンダース上院議員(無所属 バーモント州)とアレキサンドリア・オカジオ・コルテス下院議員(民主 ニューヨーク州)は今週、クレジットカードに15%の利息上限を設ける法案を発表した。
2020年大統領選で民主党の指名候補争いに出馬を表明しているサンダース議員は、「現代の高利貸しは街角に潜んでいるのではなく…3ピースのスーツをまとい、ウォールストリートで働いている」と述べ、「アメリカのいかなる銀行や店舗も15%を超える利息を請求できないようにするため、全国的な利息制限を設ける」と語った。
発表によると、クレジットカード会社の2018年の利息と手数料による収入は1,780億ドル(約19兆円)に上る。CreditCards.comの調べでは、100種類のカードの平均利率は17.71%で、最大で24.98%になるという。
一方、百貨店など小売が提供するクレジットカードの平均利率は27%で、低所得者向けに給与を担保にして短期貸し出しを行うペイデイローンでは、平均年利が391%に達するという。
オカジオ・コルテス議員は、「これらの法律は長いこと存在しており、ラディカルなものではない」と述べ、1978年までは半分の州が利息制限を設けていたと語った。1978年、銀行はホームとなる州の利息を全国区で適用できるとする判決を連邦最高裁が下したことから、銀行を誘致するために複数の州が制限廃止に動いたという。
法案では、金融機関の健全性や安全性が損なわれる可能性がある場合や、過去6ヶ月にわたって金融市場の利息が上昇した場合、連邦準備銀行が債権機関に対して利息上限を超えて貸し出すことを許可する権限を持つとしている。
さらに両議員は「ウォール街の巨大金融だけが、市民がアクセスできる銀行サービスでないようにしなければならない」とし、「国内に3万箇所ある郵便局で基本的金融サービスを扱うことで、銀行口座を持たない数百万の市民に手頃な価格のオプションを提供することができる」と、郵便局で金融業務を提供する案を語った。
実効性は?
CreditCards.comの調査によると、88%のアメリカ人は利息上限に賛成している。ただし、トランプ政権の期間中は、法案が通るのは”0%以下”だと述べ、民主党が2020年に政権とった場合に動く可能性があるとしている。
利息収益の減少や郵便局が新たに競合となりうることから、業界からの強い反発も予想される。
Politicoによると、消費者銀行協会(Consumer Bankers Association)のリチャード・ハントCEOは「上限は、クレジットスコアの低い市民や従来の方法による収入源のない市民が、住宅ローンから自動車ローン、学生ローンにいたるすべてのローンを受けることを困難にする」と語った。
また、アメリカ銀行協会の広報は、「消費者は今日、激しい競争と活気のあるクレジットマーケットの恩恵を被っている。政府が人工的に制限するのは間違いだろう。この法案は、クレジットを最も必要とする人々のアクセスを制限し、規制の少ない、コストの高い代替サービスへと導くことで、消費者に損害を与えるだけだ」と語った。
またCreditCards.comは、カード会社に高コストとなっている顧客獲得競争のためのリワードプログラムにとって、マイナスに働く可能性を指摘。差別化を維持するためにリワードを変更しない場合でも、消費者への手数料引き上げなど、他の方法を模索するだろうとしている。